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【遠藤良介のロシア深層】軍施設からの菌流出を隠蔽、全体主義の病

 死者は公式に64人とされるが、実際にはもっと多いとの見方も強い。感染源が正しく明かされていれば、救えた命があっただろう。当の研究所職員や軍人には即座に血清療法が行われ、1人の死者も出なかった。

 この一件を思い出したのは、新型コロナウイルスの問題で時折、ウイルスは中国・武漢市の研究所から流出した-との説が浮上するからだ。ウクライナ国家安全保障・国防会議の書記が3月上旬、「ウイルスは研究所から流出したと、われわれはみている。(感染源として)動物を悪者にするべきでない」と発言した。

 根拠のない説に加担することはできない。しかし、中国がウイルスの発生を数週間以上も隠し、医師らの口を封じたことで被害を広げたのは紛れもない事実である。公職者が人命よりも保身やメンツを優先し、情報を隠蔽するのは、中国にもソ連にも共通する全体主義の病にほかならない。

 強権で武漢封鎖を行った中国が感染拡大のピークを脱する一方、ウイルスは欧米などに広がって猛威を振るっている。初動に失敗した中国は今や活発な医療支援外交に転じ、高官が恩着せがましい発言までしている。コロナ収束後の世界を見越し、中国型体制の優位を宣伝する思惑であろう。

 むろん、言論の自由や個人の尊厳がないがしろにされる体制が称賛されることなどあってはならない。ソ連の場合と同様、武漢ウイルスについても、今は知り得ない真相が表に出てくるときがくるのではないか。(外信部編集委員兼論説委員)

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