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【健康カフェ】(174)認知症 歩みが遅くなったら注意

 人の名前がすぐに思い出せないようなことは誰にでも起きます。しかし高齢になってきてこのようなことがしばしばあると、自分は認知症なのではないかと心配になるものです。認知機能の低下を疑わせる症状としては、身近な人の名前や顔が分からなくなる、少し前のことを覚えていない、会話がかみ合わない、といったものです。いろいろなことに興味を持たなくなってしまったり、急に怒り出したりする場合もあります。

 高血圧で通院する70代後半の男性患者さんは、奥さまに言わせると最近物忘れが多くなってきたそうです。好きだった読書も減り、テレビを見て、そのうちに居眠りするということが増えたそうです。本人に変わったことはないかと尋ねると、「歩くのが遅くなって困っている」とのことでした。

 記憶力の低下だけでなく、身体機能の低下が認知機能の低下に関係することが分かっています。どちらかがあれば認知症には注意が必要ですが、どちらもある人はより一層の注意が必要なようです。

 記憶力や身体機能の低下と認知症発症の関係を調べた研究結果が今年2月、米医学雑誌に報告されました。60歳以上の欧米人を対象に行われた6つの研究をまとめて解析したもので、参加者は約7千人程度です。開始段階では認知症がなく身体機能も正常な参加者を10年前後観察し、途中で記憶力や歩行速度を測定しています。結果は記憶力も歩行速度も低下しない人に比べ、記憶力だけが低下する人は認知症になる率が3・5倍、歩行速度だけが低下した人は2・2倍、両方が低下した人は6・3倍にもなっていました。

 歩行という動作には脳や脊髄といった中枢神経系が幅広く関わっています。早く歩けなくなるということは、筋力だけでなく、中枢神経機能の低下がある可能性があり、認知機能にも影響を及ぼすことが考えられます。

 その男性患者さんの認知機能を調べたところ、多少の低下はありますが認知症というほどではありませんでした。「認知症にならないように今日から頑張ってもらいます」と奥さまが言い、本人は苦笑いしながら帰っていきました。

(しもじま内科クリニック院長下島和弥)

=次回は23日掲載予定

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