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【ビブリオエッセー】苦手意識がきっと変わる 「浜村渚の計算ノート」青柳碧人(講談社文庫)

 僕は数学がとても苦手だった。嫌いだった、という方が正確かもしれない。小学生の頃から理数科目は本当にできなかった。

 そんな時、本屋で見つけたのが青柳碧人さんの『浜村渚の計算ノート』。タイトルに心引かれて手に取った。直感的に「面白そう!」と思い、購入。家に帰ってさっそく読んでみた。

 あらすじを簡単に書くと、少年犯罪の急増を理由に国が理系科目の時間を削除したことから事件が始まる。国は、物事を数値化するような科目は「人間性を否定しうる」というのだが、これに反発した一人の天才数学者が国の方針を変えさせようとテロを起こす。全国民を人質に、数学のゲームを仕掛けてきたのだ。

 次々に起きる殺人事件。当然、政府、警察はテロリスト逮捕に乗り出すが、警察も文系が大半、数学を駆使したテロになすすべがない。そこで連れてこられたのが、数学の天才女子中学生、浜村渚。円周率や級数、対数が難事件を解く鍵になる、というお話だ。

 読み終えた時、僕は、数学が嫌だという感情が消えていったような気がした。そのかわりに数学に対する興味がうっすらとだが出てきた。数学に対する価値観が変わってきたという意味では、自分が今まで読んだ本の中でもトップ10に入るぐらい面白い本だった。

 今、中学生や高校生に「苦手な科目は?」と聞いたら理数科目を挙げる人が少なくないだろう。そういう人たちにはぜひ読んでみてもらいたい。本を読むのが苦手という人も、気になるところだけでいいから読んでみてほしい。数学も意外と面白いのだ。読む前と後では数学の教科書が違って見えるはずだ。 

 奈良市 貝瀬村民朗 15

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