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群馬の八ツ場ダムが完成 4月1日から運用開始も 新型コロナで周辺の観光地打撃

八ツ場ダムとダム湖「八ツ場あがつま湖」=群馬県長野原町(橋爪一彦撮影)
八ツ場ダムとダム湖「八ツ場あがつま湖」=群馬県長野原町(橋爪一彦撮影)

 昭和22年のカスリーン台風がもたらした大洪水の被害を受け、建設が計画されてから約70年を経て、事業費5320億円をかけた八ツ場ダム(群馬県長野原町)が31日、完成した。4月1日から本格運用が始まり、下流地域での河川の氾濫防止や水道・工業用水の確保など重要な役割を担う。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は周辺の観光地にも広がり、期待される地域活性化の妨げとなる恐れもある。

 ダムは高さ116メートルで、昨年10月から行われていた試験湛水は今年3月9日に終了。貯水池周辺の安全性が確認された翌10日から東京五輪・パラリンピック期間中の水不足などに備えて貯留を開始していた。

 地元にはダム建設中から見学ツアーなどで多数の観光客が訪れ、公募されたダム湖の名称は1月、「八ツ場あがつま湖」に決まった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪・パラリンピックは1年延期に。県内で31日と4月1日に予定されていた聖火リレーも中止となり、ランナーがダム湖に架かる八ツ場大橋を渡る光景も見ることができなくなった。

 ウイルス感染防止のため、ダムを見渡せる「やんば見放台」や「川原湯展望広場」は閉鎖。観光客もまばらでひっそりとした状況が続く。

 埼玉県川越市から知人と訪れたダム愛好家の野本慧さん(31)は「巨大なダムの完成を見ることができ感激」と声を弾ませながら、「ダムカードをもらいに来たが、資料館が閉まっていて手に入らなかったのが残念」と話した。

 約800年の歴史がある川原湯温泉はダム湖底に沈み、住民や旅館は高台の代替地に移転した。しかし、新型コロナウイルスの影響はこちらにも広がり、かき入れ時の大型連休の宿泊者のキャンセルも続出している。

 ダム建設をめぐっては、水没地区を中心に激しい反対が続き、工期もたびたび延びた上、本体の着工目前だった平成21年には民主党政権が中止を表明した。これに対し、事業費を負担する群馬、茨城、栃木、埼玉、千葉、東京の6都県が反発。最終的に建設は再開された。

 24年に高台に移転した関政一さん(71)は「知り合いが多い代替地に住むことにした。ただ近所の住民は20戸だけで、しかも高齢者ばかり。寂しい」と嘆く。

 川原湯温泉協会の樋田省三会長は「ダムが完成したのは通過点に過ぎない。今までは国が面倒を見てくれていたが、これから少ない人数でどう頑張っていくかだ」と語った。

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