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【話の肖像画】台湾元総統・陳水扁(69)(8)「言論の自由」求める闘い

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雑誌「蓬莱島」の創刊号の表紙。李登輝氏(右から2人目)ら台湾出身の政治家たちを「国民党の操り人形」と風刺している
雑誌「蓬莱島」の創刊号の表紙。李登輝氏(右から2人目)ら台湾出身の政治家たちを「国民党の操り人形」と風刺している

 《1980年の「美麗島(びれいとう)事件」の裁判では、国民党政権に理不尽な理由で弾圧された雑誌の編集者たちに同情が集まった。事件後、台湾の知識人たちは言論の自由を求めて次々と新しい雑誌を発刊した。週刊「蓬莱島(ほうらいとう)」はその代表的な存在だ》

 「美麗島」も「蓬莱島」も同じく台湾の別名だ。中国から渡ってきた国民党政権に対抗して、いずれも台湾の価値観を強調したいという思いが込められた。私は雑誌の編集にほとんど関わっていなかったが、「名前だけを貸してくれ」と編集部に頼まれ、雑誌社「蓬莱島」の社長になった。弁護士と台北市議という立場があるから、私が社長であれば治安当局が手を出しにくいのではないかという淡い期待があった。しかし、その考えは甘かった。1984年6月に発行された創刊号で「台湾人政治家特集」を組み、当時、副総統になったばかりの李登輝氏ら外来政権に協力的な台湾出身の政治家を「国民党の操り人形だ」と皮肉った。創刊号は早速、発行禁止となった。

 《第2号では当時の総統、蒋経国氏の秘書が発表した、マルクス主義を批判する学術論文を「英語の文献を翻訳しただけで、盗作の疑いがある」と指摘する記事を掲載。すぐに訴訟沙汰になった》

 雑誌の社長である私と発行人、編集長らが名誉毀損(きそん)で訴えられた。私たちは米国在住の台湾人学者らに協力してもらい、その論文の盗作に当たる部分を明記した上、詳しく説明する200ページを超えるリポートを法廷に提出したが、一蹴された。罰することが当局の目的だったのだ。85年1月の1審判決は「懲役1年、罰金200万元」。200万元は当時の公務員の15年分の年収で、前代未聞の重い判決だ。

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