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懸念高まる「医療崩壊」 感染拡大で役割の明確化急務

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区(納冨康撮影)
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区(納冨康撮影)

 新型コロナウイルスのオーバーシュート(爆発的な患者急増)への危機感が国内でも高まる中、感染拡大がさらに加速すれば、イタリアやスペインのような「医療崩壊」を招きかねないとの懸念が渦巻いている。死亡事例の発生を最小限に食い止めるためには、地域ごとに病院の役割分担を明確化し、重症者を優先的に治療していく医療態勢の構築が急がれる。

 「患者があまりにも多く発生すると、病院の機能は落ちる。やろうとしていた医療ができなくなる状況は絶対に防ぎたい」。国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫・国際感染症センター長は25日、東京都が外出自粛を要請した会見でそう危機感をあらわにした。

 都内の感染者は26日時点で全国最多の計259人。新たな感染者は25日から3日連続で40人を超えており、患者を受け入れる専用病床は埋まりつつある。

 都の担当者は「今は感染症指定医療機関の140床と、それ以外の医療機関の協力も得ながらなんとか病床を確保している」とぎりぎりの現状を強調。その上で、「今後もこのレベルで患者数の発生があると、病床は足りなくなることが想定される」と明かす。

 厚生労働省によると、国内でこれまでに確保した病床数は、感染症対策の設備が整った感染症指定医療機関を中心に約2万1千床。だが、ピークには都内だけで入院患者が約2万500人に上るとの推計もある。

 現在は検査で陽性なら軽症や無症状の人も入院対象で、患者がさらに増えれば人工呼吸器や人工心肺装置を使った重症患者のケアに支障が出かねない。十分な医療が提供できずに死者が続出するという事態は、最も避けたいシナリオだ。

 政府は今後の感染動向により、軽症や無症状の人を自宅療養に切り替える方針を表明。19日には症状の軽重に応じて患者の受け入れ先を検討する「調整本部」の設置を都道府県に要請した。新型コロナの患者を重点的に受け入れる医療機関の設置なども促し、専門医らを集約し、治療に当たる態勢の整備を急ぐ。

 自治体の先行事例もある。大阪府は司令塔組織の「入院フォローアップセンター」を設け、自宅療養や休病棟の活用を含め4段階の患者の振り分けを開始。神奈川県では、酸素吸入などが必要な中等症の患者を集中的に受け入れる病院を指定し、専用病棟を新たに設ける方針を示した。

 東京都も最大約700床を重症者向けに確保する一方、中等症は一般病床、軽症者は自宅や宿泊施設で療養してもらう枠組みを検討。国にも一時滞在施設の確保を要請した。

 ただ、各医療機関はすでに新型コロナ以外の入院患者も抱えており、綱渡りの対応を迫られる恐れがある。東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「東京都でオーバーシュートが起きないように流行を遅らせる対策と並行し、首都圏一円など県境を越えた連携の在り方を早急に構築する必要がある」と訴える。

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