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自治体ごとにごみ袋はこんなに違う 千差万別のなぜ

 新年度が始まる4月を前に、転居する人も多いだろう。新生活で注意したいことの一つに、自治体ごとに異なるごみ捨てのルールがある。市町村によっては指定のごみ袋があり、有料と無料の違いもある。よく見てみると、指定のごみ袋にはデザインに凝ったり、多言語に対応したり、最近ではエコに配慮したりしたものも登場。袋を通じて各自治体のごみ処理に対する考え方や課題がすけてみえる。

(藤原由梨)

200超を収集

 「自治体ごとにこんなに色やデザインが違うとは。集めるまでは気づきませんでした」

 大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)の主任学芸員で、主に甲虫(こうちゅう)類を研究する初宿(しやけ)成彦さん(51)は日本各地の自治体指定ごみ袋の収集家だ。10年以上かけて北海道から沖縄まで200を超えるコレクションを積み重ねている。

 公益社団法人「全国都市清掃会議」(東京)によると、自治体によってごみ袋や分別方法が異なるのは、廃棄物処理法で、家庭から出るごみの分別方法や集め方、処理方法が地方自治体の責務と定められているため。指定ごみ袋を導入する自治体の多くは、分別やごみ出しマナーの徹底、市外からのごみ持ち込み防止などを目的にあげる。

 形状やデザインにも各自治体の独自性が表れているといい、収集家の初宿さんは「コレクター魂に火がつきました」と話す。学芸員として全国でフィールドワークを行う中で、植物や化石を持ち帰るため各地の指定ごみ袋を購入したことをきっかけに収集を始めた。

 ただ、集めるだけでは面白くない。それぞれを芸術性(イラストの有無)と国際性(多言語対応)、優しさ(持ち手の有無)、透明度、責任感(町名・氏名の記載)の5つの観点で採点している。

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 「私が独断で自治体ごとに工夫されている点を評価してみただけです」としながら、現時点で最高点を付けている一つに秋田県由利本荘市をあげた。地元にそびえる鳥海(ちょうかい)山と日本海を描き、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語で表記、持ち手がついており、町名・氏名の記載欄も設けていることから高く評価したという。

エコな素材も

 初宿さんは「東北や北海道には黄色が多いのでは。カラス対策とも、雪が積もっても目立つので収集しやすいとも聞いた」と教えてくれた。

 黄色い袋を導入している北海道小樽市の担当者に理由を聞くと「雪でも見つけやすいというメリットもゼロではない」としながら「第一に黄色をカラスが嫌うので、生ごみを荒らされないために決まったと聞いている」と回答した。

 また、小樽市は日本語と英語、中国語、韓国語、そしてロシア語の5カ国語で「燃やすごみ」と記す多国籍仕様。初宿さんによると、日本海側の大きな港町を持つ自治体にはロシア語表記のゴミ袋が散見されるといい、土地柄を表している。

 指定袋の素材に工夫を凝らす自治体もある。

これまでに収集した自治体指定のごみ袋を披露する大阪市立自然史博物館の初宿成彦学芸員=大阪市東住吉区
これまでに収集した自治体指定のごみ袋を披露する大阪市立自然史博物館の初宿成彦学芸員=大阪市東住吉区
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 米どころとして知られる新潟県南魚沼市は昨年11月から、地元企業とタッグを組み、プラスチック樹脂に米粉や米ぬかを10%混ぜ込んだバイオマスプラスチック製ごみ袋の販売を始めた。45リットルあたり1袋50円と、石油由来で作られた袋と同等になるよう抑えた。この袋を使えば、ごみ処理の際に温室効果ガスを約1割削減することが可能と見込まれている。担当者は「海洋汚染などで懸念されているマイクロプラスチック問題に配慮した。袋の強度に問題はなく、市民からも苦情などは寄せられていない」という。

増える有料化

 環境省によると平成29年度の時点で全国の市町村のうち64・6%が家庭ごみ(粗大ごみ除く)に対し、ごみ袋を有料化するなどして手数料を徴収している。19年度は58・9%で、有料化に踏み切る自治体は右肩上がり。担当者は「ごみ処理費用はかさむので、有料化する自治体が増えているのでは」と推測する。

 ただ、大阪府八尾市のように指定袋はあるものの、無料で配布している自治体もあり、自治体によって取り組みはさまざまだ。

最高得点が付けられた自治体の一つ、秋田県由利本荘市のごみ袋
最高得点が付けられた自治体の一つ、秋田県由利本荘市のごみ袋
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 そもそも指定ごみ袋制度を導入していない大阪市は透明・半透明の袋であれば、レジ袋などどのような袋でも収集する。担当者は「市販品の袋を使ってもらえば、都市名などの印刷経費や製造コストが不要で、価格が安くなることも考えられる。市民に受け入れられやすいと考えている」とメリットを説明する。

 法に基づき、各自治体はその地域の実情に応じたごみ処理計画を立て、ごみ出しのルールを決めている。捨てられる運命のごみ袋にも、都市の規模や焼却能力だけでなく、その土地柄が反映されている。

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