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【ビブリオエッセー】湖に沈んだ村と二人の少女 「ふたつの月の物語」富安陽子(講談社)

 養護施設で育った美月(みづき)と、里親を一カ月前に亡くした月明(あかり)。中学二年生の夏、二人の少女は、津田節子というおばあさんの家の里子の候補になり、湖月荘という別荘で夏休みを過ごすことになりました。二人には共通点があります。十四年前の四月に生まれたことです。

 別荘には家政婦の加代子さん、料理人の江島さん、力仕事をしている国松さんが働いていて、津田さんの仕事仲間の影山さんもよく訪れます。ある夜のこと、月明は、美月としゃべりたいけれど部屋の扉を開けて会いに行くのは恥ずかしいと思い、バルコニーの手すりをつたって美月の部屋まで行きます。そこで二人は、どちらも夜目がきき、美月は優れた嗅覚と記録力を、月明は時をすっ飛ばす(タイムワープ)力を持っていることを知ります。

 一通り話が終わって月明はもう部屋に戻ると言い、バルコニーの手すりに乗ると、手すりが折れ、月明を助けようと手をのばした美月も一緒にがけから落ちてしまいました。私はここで二人とも死んだのかと思いましたが、物語はここから始まります。二人は三年前、ダム湖に沈んだ弓月村(ゆづきむら)という村に月明の力で来てしまったのでした。そこで二人は生まれたての赤ちゃんを見つけます。

 また、津田さんは三年前に孫を亡くしていました。そこで孫を生き返らせるため「魂呼び」の神事をしようとしているのでした。謎は次々に明かされていきます。

 過去と現代を行き来するところが面白い。そして過去、現在、未来はつながっているんだなと思いました。

 大阪市西区 太田美月(12)

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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