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反芸術の旗手 今も 「ネオ・ダダの軌跡」ギャラリー58

「ネオ・ダダの痕跡」展の会場=ギャラリー58
「ネオ・ダダの痕跡」展の会場=ギャラリー58

 昭和35年、東京で結成された前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ(ネオ・ダダ)」。活動期間は1年にも満たなかったが、既存の芸術をひっくり返す過激なパフォーマンスなどで脚光を浴びた。その重要メンバーだった5人の美術家の作品を集めた展覧会が東京・銀座のギャラリー58で開かれている。

 中心人物の篠原有司男(88)は、ギャラリーの壁面を占有する大作「パリだぜ!牛ちゃん-親友、木下新に捧げる」を発表。ニューヨークを拠点に活動する篠原は、新型コロナウイルス感染拡大前の今年1月にパリを訪問、その体験を絵画に反映させた。ギラギラとした太陽やルーブル美術館のガラスのピラミッド、大口を開いて何かを食べる男などが、粗暴とも見えるタッチで描出された。

 アクリル絵の具の赤、青、黄が乱舞し、生命力に満ちている。ボクシンググローブに絵の具をつけてキャンバスを殴りつける「ボクシング・ペインティング」で知られる男のパワーは健在だ。篠原は「ニューヨークは新型コロナ感染症の影響で、街も人も沈んでいる。だからこそ元気のある作品でそんな空気を吹き飛ばしたい」と話す。

 花火などを使った先鋭的作品で美術の概念を壊す“反芸術”を標榜(ひょうぼう)し、「ネオ・ダダ」の生き証人である吉野辰海(80)。この40年は主に犬をモチーフにした立体作品を中心に制作してきた。最新作も犬。等身大ではなく小さな白い犬の動く姿だ。素材は繊維強化プラスチックで、油絵具で着色。中は空洞で胴体が切断されている。作品に自身を投影してきた吉野。意味深長なタイトル「此処へ」も含め、何を暗示しているのだろうか。

 赤瀬川原平(1937~2014年)はペン画を展示。欧米で活躍した精神分析学者、ウィルヘルム・ライヒ(1897~1957年)の復刻本の挿絵として制作されたもので、初公開という。風倉匠(1936~2007年)の乳房をモチーフに石膏で作られた作品、田中信太郎(1940~2019年)の金属を素材にしたユーモラスな平面作品も。鬼籍に入ってしまったメンバーの作品は遺族や所蔵者から出品された。

 「ネオ・ダダの痕跡」は4月4日まで、日曜休。問い合わせは03・3561・9177。(渋沢和彦)

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