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【学ナビ】羅針盤 東京経済大学・岡本英男学長 生涯の師を見つける場に

(松井英幸撮影)
(松井英幸撮影)

 東京経済大学(東京都国分寺市)は今年、創立120周年を迎える。『考え抜く実学』を掲げ、世界に羽ばたく商人を育てた前身・大倉商業学校の実業教育と学問研究に裏付けされたアカデミズムの融合を目指してきた。「大学は生涯の師を見つける場」と話す岡本英男学長に、大学の足跡と未来について聞いた。(聞き手・宮田奈津子)

 --考え抜く実学とは

 「実業家の大倉喜八郎が創設した大倉商校は、国際的実業人を輩出する名門だった。しかし、校舎焼失や敗戦、財閥解体の中で、都心の赤坂から国分寺に拠点を移した。卒業生や教職員、学生が団結し、大学昇格を目指して苦労を重ねた。その歴史こそが本学の在り方。実学とは課題を見つけ、改革していく力を意味している」

 --『進一層』『責任と信用』という理念を掲げる

 「大倉商校時代の“世界”は明確だったが、現代で世界を定義するのは難しい。活躍の場は家庭や地域にあるかもしれない。卒業後すぐに活躍する人もいれば、20年後に輝く人も。自分が求める世界や時にたどり着くまで、常に挑戦を続けてほしいという思いが込められている」

 --シニア大学院生の受け入れも充実している

 「日本経済は停滞しているが、学問や思想、言論の自由は保障されている。社会で活躍したシニア大学院生が最前線を離れ、バブル崩壊の経験を振り返り、考察する。その知見は今の学生たちにも有用だ。そうして大学は市民社会の成熟に貢献することができる」

 --大学の役割とは

 「現代法学部の加藤一彦教授は、『大学は教師と学生が同じ本を読み、論じ合う場』と表現する。教員は学生に伝えたい何かを持ち、学生は何かを学びたいと願う。同じ本を読んで議論し、答えに出合えればいい。新入生には生涯の先生を見つけよう-とメッセージを送っている」

 --学長の学生時代は

 「大学2年のとき、経済学者・宇野弘蔵先生の本に出合い、『世界が分かる』と目が覚めた。そして、宇野経済学発祥の地・東北大学へ。国家への興味から財政学を学んだ。国内外の研究者と交流するが、出身や時代を超えて同じ本を読み、問題意識が共有されている。当時の決断が今につながっている」

 --東経大の伝統は経済学部だ

 「人気を集めているのは経営学部。経済学は(歴史が長いという意味で)古い学問だが、社会科学の中心にある。新古典派経済学をはじめマルクス経済学、ポストケインズ派経済学まで、幅広い経済学を提供していく」

 --これからの東経大は

 「戦前、戦後の分断を乗り越え、多摩地域で学びの場を守ってきた。都心には世界的企業が進出し、華やかな世界がある。しかし、今の仕組みが全ていいというわけではない。最先端を見ながら、一歩引いて考える絶好の環境だと思う。現代の深層はどこにあるのか-。じっくりと考察できる大学にしていきたい」

【プロフィル】岡本英男

 おかもと・ひでお 昭和26年、兵庫県生まれ。愛媛大学法文学部法学科卒業、東北大学大学院経済学研究科博士前期課程を経て、同後期課程取得満期退学。東京大学より博士(経済学)取得。東北学院大学教授などを歴任、平成29年から現職。専門は財政学。

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