新型肺炎 小中高校休校へ 関西の教育現場も「寝耳に水」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が27日、全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請。進級・進学を目前に控える教育現場からは「どうすればいいのか」「前例がない」と困惑の声も聞かれた。
「まさに寝耳に水。そこまでの対応は想像していなかった」。奈良県内の公立小学校長(60)は困惑を隠さない。感染が拡大している一部の自治体では独自に休校とするなどの対応をとっていたが、大半は感染者が拡大していない自治体。「春休みまで、まだ授業が残っている。対応を考える時間もない」とこぼした。
3月2日から休校となる見込みで、事実上、28日が最後の登校日になり、現場は早急な対策を迫られることになる。京都市内の市立小学校の校長は「教育委員会の対応を待つしかない」。小学4年のクラスを担任する男性教師(30)も「授業が終わらないまま新年度や卒業になったらどうなるのか。前例がないことなので想像もつかない」と胸の内を明かした。
要請では、入試や卒業式を実施する場合は、感染防止の措置を講じ、必要最小限の人数に限って開催するなど万全の対応を取るよう求めている。
だが、具体的な対応は見通せない。大阪府東部にある市立中学校の女性教諭(34)は「公立高校の出願や入試も控えている。その影響はどうなるのか」と不安げに話す。
別の小学校関係者も「卒業式をしっかりできずに6年間の小学校生活が終わるのではあまりにかわいそうだ」とおもんぱかった。
保護者からも動揺の声が聞かれた。共働き家庭では急遽(きゅうきょ)、対応を迫られることになる。小学3年の長女(9)と保育園の次女(6)を育てる大阪市阿倍野区の女性会社員(40)は「ニュースで知って驚いた。年度末で仕事が忙しいのに預け先がないと困る」と憤った。
大阪市内の市立小学校の女性教諭(39)も「現場ではまだ方針が示されていないが、自分も子育て中。子供の居場所など態勢が整わないまま休校と決められてもどうしようもない」と困惑した。
今回の要請について ある公衆衛生学の専門家は「現時点では、新型は大人が感染しやすい傾向にある。小学校での流行はほとんどなく、地方には感染者がいない地域もある。全国一律で休校する必要性がどこまであるのか疑問だ」と話した。