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【本郷和人の日本史ナナメ読み】日本史学と実証主義(下) 「考える」歴史学が生んだ皇国史観

 調べるだけじゃダメなんだ。考えに考えて、はじめて学問だ。そうした風潮がこの時期には色濃くあったのでしょう。だから、「徹底的に調べろ!」という史料編纂所と「考えに考えぬけ!」という文学部国史研究室(いまは日本史研究室)との対立が生まれた。本当は、「調べる」という行為を深く推し進めれば、その過程でたくさんの「考える」が必要になるのですが、あえてそこを見ずに、私こそは「考える研究者、真の学者なのだ」と主張して史料編纂所を屈服させ、文系学問のスターになったのが、平泉だったのです。平泉の「皇国史観」のもとでは『古事記』や『日本書紀』が重視されるとともに、『平家物語』や『太平記』などの『歴史物語』も息を吹き返しました。この意味でも、川田の路線は復活を遂げたのです。

 次回は3月5日に掲載します。

■日本物理学の祖、田中館愛橘

 1856~1952年。現在の岩手県二戸市に生まれる。田中館家は盛岡藩の兵法指南の家柄。藩校で学んだときの同期に原敬、後輩に新渡戸稲造がいた。東京大学に入学し(師は山川健次郎)、のち同大学の教授となる。地球物理学や航空学など幅広い分野に業績を残し、日本の物理学の草分けとなる。またメートル法やローマ字の普及に努めたことでも知られる。

【プロフィル】本郷和人

ほんごう・かずと 東大史料編纂所教授。昭和35年、東京都生まれ。東大文学部卒。博士(文学)。専門は日本中世史。

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