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【がん電話相談から】乳がん術後、ホルモン療法なぜ必要

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5ミリ以下なら経過観察の方も

 Q 40代の女性です。令和元年12月、乳がん温存手術を受けました。浸潤がんでがんの大きさは1~3ミリ、リンパ節転移なしでステージIの診断でした。エストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PgR)がそれぞれ陽性、HER2が陰性のタイプでした。今後はホルモン療法(抗エストロゲン薬)と放射線治療をすると主治医に言われました。ホルモン療法はなぜ必要なのでしょうか。

 A ERとPgR陽性は、ホルモン療法の効果が期待できるタイプの乳がんです。ホルモン療法はがんの再発リスクを小さくする目的で使われます。手術でがんを摘出したとしても、その前にすでにがんが他の部位に飛んでいる恐れがあります。ホルモン療法は、女性ホルモンのエストロゲンとエストロゲン受容体との結合を阻止し、がんの増殖を抑制することが期待されています。

 Q 放射線治療はどのような狙いがありますか。

 A これも、乳房に残っている可能性がある小さながんをたたく目的があります。ホルモン療法と同じく、再発のリスクを小さくするために行います。

 Q 放射線治療とホルモン療法は、並行して受けても大丈夫ですか。

 A 一緒に受けても問題ありません。

 Q 主治医からは「ホルモン療法はガイドラインで決められている。受けない人なんていない」と言われました。

 A 世界的に標準的なガイドラインとされる全米総合がんネットワーク(NCCN)のガイドラインには、乳がんでがんの大きさが5ミリを超えるとホルモン療法が推奨され、5ミリ以下だと「考慮する」と記されています。5ミリ以下の場合、再発を予防するメリットが相対的に小さくなるため、副作用などのデメリットを「考慮して決めなさい」ということです。

 Q 主治医には「ホルモンから来るがんのタイプだから、飲んだ方がいい」とも言われました。

 A 飲んだ場合に再発リスクが下がりますが、絶対大丈夫ということではありません。また、5ミリ以下ではリスクが低くなり、相対的にメリットが小さくなります。副作用もある薬ですので、メリットとデメリットを比べて、どちらを取るかという判断になります。

 Q 飲んでも再発リスクがゼロにならないなら、飲まずに副作用がない方を選びたくなります。主治医からは「ホルモン療法は10年間続けるところを5年間でいい。副作用が出たら途中でやめてもいい」という話もありました。

 A ホルモン療法は始めたら、5年間、あるいは10年間と所定の期間を継続するのが原則です。

 Q 最終的にはどうしたらいいでしょうか。

 A 判断は個人によって異なります。患者さんの考えや生活スタイルを尊重して決めていくことになります。今回のようにがんの大きさが5ミリ以下の場合、ホルモン療法を受けずに経過観察する方も多くいます。

(構成 大家俊夫)

 回答は、がん研有明病院乳腺外科部長の上野貴之医師が担当しました。専門医やカウンセラーによる「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は月~木曜日(祝日除く)午前11時~午後3時に受け付けます。03・5531・0110、無料。個人情報を厳守します。相談内容が匿名で掲載されることがあります。

 《ミニ解説》

■閉経後、閉経前で副作用に差も

 術後乳がんのホルモン療法の主な副作用として、突然汗が出るホットフラッシュなどが挙げられる。ホルモンを調整するので、薬剤によって更年期障害のような状況になるからだ。

 このほか、ホルモン療法の1つであるタモキシフェンには子宮体がんになるリスクもある。上野医師は「閉経前の女性なら、タモキシフェンを内服しても子宮体がんになるリスクは上がらないが、閉経後の人だとリスクが上昇する。閉経後の場合には別のホルモン療法(アロマターゼ阻害剤)が使われることも多い」と話している。

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