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【朝晴れエッセー】水平線と夕日の絵・2月11日

 いつも行くスーパーで、絵が飾ってあるのを見かけた。スーパーの雰囲気とは相いれない、絵画の展示即売会だった。

 私は絵画購入とは縁のない者である。美術館に行くのは好きだった。海外印象派の有名な作品展を見て、心に残った作品があれば、絵はがきを100円で買って、小さな額に入れて眺める程度だった。

 さて、スーパーの展示販売会を見ていると、意外に安い。無名の画家のものばかりだが、手に届く値段ばかり。小さなサイズの絵が多いからだろう。

 「皆、正真正銘の本物の油絵です。絵の具を使って、額に入れて、この値段は破格ですよ」

 眼鏡をかけた弁の立つ年配の男性が話しかけてきた。画廊の出向の人だった。

 「やはり絵は、値段ではなく、自分が好きなものを買うことです。友達のようにね。一生飾るのですから」

 一枚の絵に妙にひかれた。

 海の水平線があり、夕日が信じられない美しい色彩を帯びて沈んでいく風景だった。赤が、強烈にまぶしい。

 私はもともとスキューバダイビングが好きで、世界の海をめぐるのが趣味だった。

 そんな私の海への憧れが、この絵と不思議と通じ合うのかもしれない。画廊の男性の言うごとく、「友達」と会えた気分だった。

 私はこの水平線と夕日の絵を買った。

 買ってよかった。私の部屋の中で、絵は私の憧れと呼応してくれているようだ。

 初の絵画購入の散財だった。

鳥塚力 55 東京都江東区

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