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【THE INTERVIEW】作家・伊吹有喜さん『雲を紡ぐ』 「時を超える布」に心惹かれ

盛岡市のホームスパン工房「蟻川工房」で作った鮮やかな赤いショールを羽織る伊吹有喜さん。作中の美緒のショールのモデルだ(酒巻俊介撮影)
盛岡市のホームスパン工房「蟻川工房」で作った鮮やかな赤いショールを羽織る伊吹有喜さん。作中の美緒のショールのモデルだ(酒巻俊介撮影)
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 □『雲を紡ぐ』(文芸春秋・1750円+税)

 ■2度の直木賞候補 温かい読後感に定評

 映画化もされた直木賞候補作『ミッドナイト・バス』など、人間心理を温かく丁寧に描いた作品で知られる作家、伊吹有喜さん(50)。その最新作『雲を紡ぐ』(文芸春秋)は、岩手県で今も手作りされる名産毛織物「ホームスパン」をめぐり、3代にわたる家族のほつれた心の糸を丁寧に紡ぎなおす物語だ。

 主人公は、いじめが原因で不登校になり、また母の過剰な期待にも押しつぶされそうになっている東京の高校2年生、美緒。盛岡市で工房を営む父方の祖父母から幼少時に贈られたホームスパンの赤いショールにくるまっている時間が唯一の安らぎだったが、精神的自立を望む母がそのショールを取り上げたことがきっかけで限界を迎え、一人盛岡の祖父宅に駆け込む。そこで職人仕事に接するうちに、美緒は自分でホームスパンを作ってみたいと考えるようになっていく。

 「昭和戦前から戦中、戦後のことを調べていたとき、当時のおしゃれな男性たちがみんなホームスパンの上着を愛用していたことを知ったんです。どんな布地なのかな、と興味を持ったのが始まりでした」

 ホームスパンとは、羊毛を手で紡いだ糸を用いた手織り布のこと。岩手には綿羊飼育が始まった明治時代に英国から製法が伝わり、大正期の民芸運動を通じて、文化人らがこぞって求めるようになった。軽く暖かい上にきわめて丈夫で、ジャケットやマフラー、ストールなどの生地として重宝されている。

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