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【本ナビ+1】俳優・寺田農 『聖なるズー』濱野ちひろ著 根本から問い直す愛の意味

『聖なるズー』濱野ちひろ著
『聖なるズー』濱野ちひろ著
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 「キャシーだよ、僕の妻」。ベルリンから約3時間のところにある田舎町の駅で、著者を迎えた男ミヒャエルはそういって大きなジャーマン・シェパードを紹介し…。

 本書の著者は、19歳から10年間、パートナーから性暴力を含む身体的、精神的暴力を受け、相手から逃れた後、30代の終わりに京都大学大学院で文化人類学におけるセクシュアリティ研究にかかわる。

 セクシュアリティ研究とは「人間の性やそれにまつわる事象、性をめぐる社会的な状況、あるいは性の歴史などにアプローチする研究分野」。そこで著者が見つけたテーマが「ズーフィリア(動物性愛)」というものだった。

 「人間にとっての愛やセックスそのものの意味を根本から問い直すことにも繋(つな)がる」と著者は、ドイツにある世界唯一の動物性愛者団体「ZETA(ゼータ、寛容と啓発を促す動物性愛者団体)」のメンバーとコンタクトを取る。冒頭のミヒャエルは、ゼータの中心メンバーである。

 「自らをズーと称する」動物性愛者たちのパートナーは犬、馬が圧倒的に多い。セックスをすることもあるが、それだけを目的にはしていない。だから、なかにはねずみをパートナーとするズーもいる。そこでは動物と人間の関係が、あくまでも対等であることが求められる。それでも動物保護団体からは「アブノーマル」の一言で糾弾される。

俳優、寺田農さん
俳優、寺田農さん
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 現在、犬猫を中心としたペットブームの日本では、「多くの飼い犬が当たり前に去勢」をされ、家族の一員として「こども視」されている。

 動物性愛と、ペットとして愛することはまったく違うものなのだろう。それは動物に対してのパートナーか、飼い主かの違いかもしれない。

 昨年の第17回開高健ノンフィクション賞受賞作である。(集英社・1600円+税)

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