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クルーズ船の感染拡大は特有の密閉空間と認識の甘さ

着岸したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=7日午後、横浜市鶴見区(川口良介撮影)
着岸したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=7日午後、横浜市鶴見区(川口良介撮影)

 横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員に対するウイルス検査の結果が出そろい、感染者は3711人中61人に膨れ上がった。高い感染率となった背景には、密閉空間で長時間生活をともにするクルーズ船特有の環境に加え、感染拡大防止への認識の甘さも見え隠れする。船会社の対応には検証が必要で、日本に寄港する他のクルーズ船の教訓になりそうだ。

 「(香港の男性の感染確認が)検査のスタート。濃厚接触者の中に陽性の人がいた。そこから先にどう広がるか。しっかりと分析していきたい」。加藤勝信厚生労働大臣は7日の閣議後会見で、クルーズ船での感染拡大への認識を問われ、こう述べた。

 1月20日に横浜を出て、香港、ベトナム、台湾などを経て、2月3日に横浜に戻る15日間の航路をたどったクルーズ船内で、どのようにウイルス汚染は広がっていったのか。

 横浜から乗船した香港の男性は1月25日に香港で下船後、2月1日に新型ウイルスの感染が判明した。乗船前の1月19日からせきが出始め、船内で症状が悪化したとされるが、同船の運営会社は「乗船前の症状についての情報はなかった。船内でも医務室を訪れておらず、体調不良を把握していなかった」と釈明した。厚労省も下船後に発症したとの見方を示している。

 一方、男性は途中寄港した鹿児島で、バスツアーに参加。厚労省の検疫では同じツアーに参加していた乗客36人が濃厚接触者としてウイルス検査の対象となり、少なくとも2人が陽性だった。男性からの三次感染の疑いが想定される。

 残り59人の感染者と男性との関わりは不明だが、厚労省が5日に客室待機を要請するまで船内で乗客の行動は制限されておらず、マスクの着用率も低かったとされる。飲食店や浴場、劇場など共有スペースでの飛沫感染や、階段の手すりなどからの接触感染のリスクは常にあった。男性の濃厚接触者からの四次感染の可能性も捨てきれない。

 一方、感染者61人のうち重症化したのは、持病を抱えた1人のみ。比較的早い段階で、感染を把握できた可能性もある。厚労省は無症状で船内待機する人のうち、高齢者や持病のある人への追加のウイルス検査も検討。さらなる感染拡大を食い止めたい考えだ。

 7日には「厚生労働省の指示のもと、マスクとゴム手袋をお配りしています」「毎日、体温を測っていただくようご協力をお願いいたします」との船内アナウンスも流れたという。

 大東文化大の中島一敏教授(感染症学)は「クルーズ船での集団感染は、特殊な空間で起きたこと」と指摘。「感染の広がりは、患者との接触度合いや船内での行動歴などを調べる中で明らかになってくる。防止策が講じられる前に感染した人が今後発症する恐れがあり、感染者が増えることもあり得る」と話した。

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