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中国に配慮か 緊急事態宣言で後手に回ったWHO

 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、世界保健機関(WHO)は緊急事態宣言を出す判断をようやく下した。中国政府がWHOに対し、緊急事態宣言を出さないよう圧力をかけたとの疑惑も取り沙汰され、対応の遅れに批判が集まりそうだ。

 「WHOは(新型肺炎)の発生を制御する中国の能力に自信を持っている」

 WHOのテドロス事務局長は30日夜、緊急委員会後の記者会見でそう話した。緊急事態宣言の後は通常、WHOから渡航制限などの勧告が出される可能性が生じるが、テドロス氏は会見で「(中国への)渡航や交易を制限する理由は見当たらない」と早々に否定した。ヒトやモノの移動が制限されることで中国経済に打撃を与えないよう配慮したとも受け止められる発言だ。

 各地で「人から人」への感染が確認されているにも関わらず、テドロス氏はこれまで緊急事態宣言を出すことに後ろ向きな発言が目立っていた。緊急委前日の29日にはツイッターで、中国国外の感染者は中国の1%ほどしか確認されていないと指摘し、世界的な感染拡大の規模を考慮して検討される緊急事態宣言を出す段階ではないと示唆した。

 宣言に消極的だったのは、中国政府がWHOへの影響を強めたのが背景にあるとみられる。30日付のフランス紙ルモンドは中国政府がWHOに対し、緊急事態宣言を出さないよう圧力をかけたと報じた。

 テドロス氏は、中国から巨額投資を受けるエチオピアの元保健相だけに、緊急事態宣言を避けたい思惑があるとみられる中国を忖度(そんたく)した可能性もある。中国外務省によるとテドロス氏は、28日に中国の習近平国家主席と会談した際、緊急事態宣言を出すかどうかの判断を慎重に行うよう求めた習氏に対し、「(中国は)時宜にかなった有力な措置を講じている」と対応を称賛した。

 一方、WHOは新型肺炎に関する26日付の状況報告で、表記に誤りがあったとして、それまでは「並」としてきた世界的な危険性評価を「高い」に訂正し、批判を浴びた。WHOは事務的なミスだとしているが、「中国に配慮して実際より危険性を低く記していた」と推察する専門家もいる。

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