PR

ライフ ライフ

武漢からの邦人退避、難しい判断迫られた政府 感染拡大リスクと邦人保護のジレンマ

 新型コロナウイルスによる肺炎が発生した中国・武漢市を含む湖北省の在留邦人206人が29日、帰国した。現地で新型肺炎に感染している可能性がゼロではない中での異例の受け入れとなり、体調不良を訴えたうちの2人は早々に肺炎と診断された。国内での感染拡大リスクの高まりと、邦人保護という危機管理上のジレンマを抱え、政府は難しい判断を迫られた。

 「感染症の発生地域から、邦人を退避させるのは初めて」(厚生労働省幹部)という今回のミッション。政府は武漢市での搭乗前検査に加え、チャーター機内に同乗した医師らが問診や検温などの健康チェックを行い、発熱などの症状がある人の座席を隔離する慎重な対応で臨んだ。

 日本到着後は、症状がある5人を羽田空港から東京都内の病院に直行させたほか、症状がない人も特定感染症指定医療機関である国立国際医療研究センター(新宿区)でウイルス検査を実施。「陰性」と確認されるまで自宅などに待機させる措置が取られた。経過観察中の2週間も事実上の自宅待機を求めている。

 厚労省は29日に専門部署を設置し、今回の帰国者を含め、武漢市などでの滞在歴や感染者と接触歴がある人について、電話などで健康状態を継続的に確認していくことにしている。

 「武漢市からの帰国者は濃厚接触者と捉え、発熱症状などの自己申告だけでなく、行政側からも積極的に追跡する。指定感染症との整合性においても矛盾のない対応だ」。重症急性呼吸器症候群(SARS)対策の陣頭指揮にあたった地域医療機能推進機構の尾身茂理事長はこう評価する。

 政府は邦人帰国前の28日、新型肺炎を感染法上の指定感染症に指定。SARSと同じ「2類相当」の扱いとし、感染者や感染疑いの人に健康診断や入院などの強制措置を取れるようにした。一方で、エボラ出血熱などの「1類」なら適用される隔離は行えない。29日の参院予算委員会で、加藤勝信厚労相は指定感染症の扱いについて、「人権の問題も考えないといけない」と理解を求めた。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ