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【書評】文筆家・木村衣有子が読む『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』

『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』
『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』

■生活からにじみ出る情感

 まえがきには「本書は沖縄の有名建築の紹介が主軸ではない」と宣言されている。

 首里にて160年続くみそ蔵、沖縄第1号のホテル、恩納村のドライブインなど、今っぽいきらびやかさはなく、しかし風格あるたたずまいの、10軒の建物の来歴がつぶさにたどられる。写真や見取り図をふんだんにちりばめ、建物の細部にまで入り込む解説も読み応えがある。そして、家主の身の上話も。

 沖縄独特の建築意匠については、コラムページを設けてつまびらかに解説される。街なかを歩いたとき目にした、きれいな透かし模様のあるコンクリート製の塀やベランダは「花ブロック」と呼ばれていると知る。戦後間もない時期に、仮設の住まい「規格住宅(キカクヤー)」を設計した、建築士の仲座久雄が考案したという。また、古い家の屋根を覆うざらざらした質感の「セメント瓦」は、戦前に台湾のものにヒントを得てつくられたとも。

 本州にしか暮らしたことのない私は、沖縄の建築というのは眩しい日差しおよび暑さとどう折り合いをつけるかが肝なのだろうと漠然と想像していた。そんな通りすがりの者の頭の中からは、台風対策ということがつい抜け落ちてしまう。この本には、風雨に耐え得る建築の工夫についての記述が繰り返し登場し、その強さ、荒さを思い知らされる。大正時代、大宜味村では「台風の圧を減らそうとそれまでにない八角形の構造にチャレンジ」した庁舎が建てられたとか、商店の看板も、取り付け式ではなくおもての壁面に直接書き入れる「直書き」が主だったとか。

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