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【脳を知る】「高齢者ドライバーの事故」免許自主返納に支援を

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脳を知る 高齢者ドライバー
脳を知る 高齢者ドライバー

 幼い子供が犠牲になるような痛ましい交通事故の報道が多いように思います。事故はすべてのドライバーの問題ではありますが、高齢者や認知症のドライバーによって引き起こされる交通事故が増加していることも事実です。

 ある調査では、「75歳未満」に対して「75歳以上」のドライバーによる死亡事故率は約2倍にもおよび、4割以上の人が「認知機能低下のおそれ」があったことが分かりました。また、運転時の違反行為の割合を調べると、記憶力・判断力が低下している人は、正常の人に比べて2~3倍高い割合で違反行為をしていることが分かりました。

 こうしたことを受け、平成29年3月より道路交通法が改正され、75歳以上の運転者が違反行為をしたときや免許更新時には、認知症の検査が行われ、認知症のおそれがあると判断された場合、医師の診断が必須となりました。

 認知症と診断されると運転免許が取り消しになりますが、不幸な交通事故をなくすためにはやむを得ないことでしょう。しかし、運転を移動手段のみならず、「生きがい」や「楽しみ」とも考えている方の割合は高齢になるほど高くなり、そのような人から免許を取り上げることにも抵抗があります。

 先日、もの忘れ外来で、軽度認知機能障害と診断された80歳の男性患者さんとこのようなやり取りがありました。認知機能は低下しているものの、目立った生活困難はありません。しかし本人にもの忘れの自覚があり、自主的に免許の返納をしたとのことです。

 患者「えらい早まったことをしたと後悔しています。免許がなくなってホントに不便ですわ。運転の下手な家内の車に乗るのもいややし」

 私「よく免許返納されましたね! 素晴らしい決断です。奥さんの車が嫌なら歩きましょう。幸いにも体は健康なので、バスや電車を利用すれば車がなくても大丈夫。歩く機会が増えて健康にもいいし、よかったですね!」と話すと納得したご様子で帰られました。

 検査で認知症が疑われた場合、免許の返納を勧めることがありますが、ほとんどの場合は強い抵抗にあい、この方のように自主的に返納することはまれです。生活の一部であった車の運転ができなくなるのは不便極まりないことですが、いずれライフスタイルを変更せざるを得ないときが来るのは間違いありません。

 一方で、行政側も「公共」のために運転を断念した人に対する配慮が必要でしょう。行政支援と自主返納の動きが進展することが望まれます。

 (済生会和歌山病院副院長・脳神経外科部長 小倉光博)

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