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【書評】作家、エッセイスト・神津カンナが読む『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』

『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳(河出書房新社・2400円+税)
『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳(河出書房新社・2400円+税)

■果てしない「知的な旅」

 本書は、現代の新たなる知の巨人、ハラリ氏の著した三部作の最後の書である。人類の過去を描いた『サピエンス全史』、未来を描いた『ホモ・デウス』、そして、この『21Lessons』は集大成として現在を語っている。今を生きる私たちがさまざまな問題をどう捉え考え、行動すべきかを書いている。本書1冊でも400ページを超える分量だ。

 年末年始をこの本とともに過ごし、原稿を書くために机に向かったとき、私がふっと思ったのは、「こんなに考えたのは久しぶりだ」ということだった。もちろん私たちは日々考えて過ごしているように錯覚しているが、現代生活というのは実は情報処理に追われるだけで、本当の意味での「思考」をしていない。それを思い知らされた。

 著者はそのことを「知的な旅」と書いているが、確かに読み終えると長く果てしない旅をして帰宅したように、ある種の満足感と疲労と、そして帰ってきた安堵(あんど)感に満たされる。そういう意味では本書を読むことによって、自分の中で眠りこけている「思考する喜び」をたたき起こすことができたのはうれしい。ただ一方で、読後、自分の居場所に戻った安堵感を感じるのも事実である。それはおそらく、私という個人が、自分の日常に戻ったからなのだろう。旅先で見た驚くべき景色から、いつも囲まれている見慣れた風景に戻ると、「私の居場所」に安心してしまうのも事実で、こうしてまた「思考」をまどろませてしまうのかもしれない。

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