PR

ライフ ライフ

【第162回芥川賞】「受賞作なしをなんとか避けられた」 島田雅彦選考委員が講評

 --ほかの3作について

 「木村さんの作品。エンターテインメント的面白さを評価する人もいたが、それゆえにダメだ、エンタメに走りすぎという意見もあった。青森とおぼしき村の村長選で、対立陣営同士のはざまに立たされた、かなり情けないどっちつかずのキャラクター。この厨二病的なキャラを愛する人と、ダメという人の両方がいましたね。かなり厳しい政治に対する風刺がふんだんに盛り込まれていて、政治と性をめぐるスラップスティックに仕上がっている。ある意味タイムリーにも思えますし、私はそこを買ったわけです。マイナス評価としては、語り手、主人公のええかっこしいが全く決まらない。それを評して“陳腐なニヒリズム”と言った方もいました」

 「高尾作品については非常にネガティブな意見が多かった。一種のアーティストノベルで、ウィーンを舞台に家族関係を通じて音と言葉の考察を行っているわけですが、このペダンチック(知識をひけらかす)なスタイルに対する否定的な評価が多かった」

 「乗代さんはテクスト相互の関連性などに非常に関心が高く、常に何らかの引用や言及を通じて独特の世界を作り上げてきた。今回も割と複雑なたくらみをなさっているが、ややもすれば彼が得意とするその手法そのものが目的化してしまっていて、センチメンタルな家族の思い出を描く際に、必ずしもテーマと手法が一致しているとは限らない、乖離(かいり)があるという意見がありました」

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ