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【主張】原発処理水 放出の選択肢は絞られた

 炉心溶融を起こした燃料に触れるなどして生じた放射能汚染水を浄化装置に通した処理水が、東京電力福島第1原子力発電所のタンク群にたまり続けて廃炉工程の行く手を塞(ふさ)ごうとしている。

 この処理水をどう処分するかの具体的な方法の絞り込みが、大詰めの段階を迎えている。

 浄化後も残るトリチウム(三重水素)を含む処理水の扱いを検討する政府の委員会で、候補案が議論されたのだ。水で薄めて海に流す「海洋放出」と、空中に蒸発させる「大気放出」を主要な選択肢とする案である。

 地中封入や電気分解放出などを含む従来の5案から、前例のある海洋放出と大気放出に絞り込まれた形だ。

 トリチウムの放射能は弱く、生体に蓄積しない。原発の通常運転でも発生し、基準値以下なら環境中への放出が国際的に認められているのだが、福島第1原発の場合は問題点が2つある。

 1つは、原発汚染水という前身から生まれる忌避感だ。2つ目は、その量の膨大さだ。約千基の大型タンクに計100万トンを超えるトリチウム水をためてしまった。事故から2年後に現在の浄化装置が稼働を始め、国際原子力機関(IAEA)からも再三、海洋放出などを勧められていたにもかかわらずだ。

 また、国連科学委員会(UNSCEAR)の方法に基づく影響評価では、処理水の全量を1年間で海洋や大気に放出しても自然放射線による被曝(ひばく)の千分の1以下に収まることが確認済みである。

 それでも漁業関係者などの間には処理水の放出を強固に拒否する声がある。風評被害を警戒しての反対だ。だが、放出を拒み続ければ、そのことがかえって風評の新たな温床になり得ることを忘れてはならないだろう。

 では、海洋放出と大気放出のどちらを選ぶべきなのか。大気放出では農林業にまで風評の影響が及びかねない。冷静に考えると前環境相の原田義昭氏が発言したように、希釈して海洋に放出する以外の選択肢は存在しないのだ。

 しかし、放出時期や期間はもはや事故当事者の東電が決められることではなくなっている。漁業関係者に対して最も説得力を持つのは、安倍晋三首相と原子力規制委員会の更田豊志委員長であろう。こちらも選択肢が絞られた。

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