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【書評】歌人・川野里子が読む『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』カウテル・アディミ著

『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』カウテル・アディミ著
『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』カウテル・アディミ著

■芸術と現実の対話描く

 幅4メートル、奥行き7メートル。アルジェリアに実在したこの小さな書店の名前は〈真の富〉という。この書店は出版社も兼ね、アルベール・カミュを世に送り出し、サン=テグジュペリやジッドらそうそうたる作家たちが集った。これら若い才能をまるで磁石のように引き寄せ切磋琢磨(せっさたくま)させ、まれに見る芸術空間を開いた黒子、エドモン・シャルロ。本書は、このアルジェリア生まれのフランス人のメモをたどりつつ、小さな書店が歴史の渦に翻弄されつつ掲げた夢を描く長編小説である。

 アルジェリアは地中海を挟んでフランスと向き合い、フランス領でもあった。第二次大戦をフランス側で戦ったが、やがて独立運動が起こる。めまぐるしく入れ替わる支配者、フランス、ドイツ、アメリカ。それに翻弄されるアルジェリア。その過程で大量虐殺の影もちらつく。

 およそ近現代の戦争の歴史が凝縮されたかのような土地で〈真の富〉書店は「地中海的な概念を持つ友情の場所」であることを掲げ続ける。「言語や宗教の区別なく、地中海をめぐるあらゆる国々の作家や読者を呼びよせる」、それこそが芸術という場であると。そしてある少女はこの書店に「何か美しいもの、外で起きていることよりも偉大な何か」を感じ、微笑(ほほえ)みながら本を読む。

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