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【編集者のおすすめ】『21世紀の啓蒙 上下』スティーブン・ピンカー著 世界の本当の姿描き出す

『21世紀の啓蒙 上下』スティーブン・ピンカー著
『21世紀の啓蒙 上下』スティーブン・ピンカー著

 本書のテーマは「啓蒙(けいもう)の理念」。そんな本が、21世紀の今、刊行されるとは奇妙に思われるでしょう。しかも全米ベストセラーとなり、ビル・ゲイツ氏が「生涯の愛読書」と激賞したとなると「何ごとか」と驚くかもしれません。

 しかし、現代ほど「理性」「科学」「進歩」などの啓蒙の理念の恩恵を受けた時代はありません。私たちが生きているのは、そのおかげとさえいえます。

 たとえば平均寿命。1950年には欧米でも平均寿命は60歳程度でしたが、今や全世界平均で71歳を超えました。啓蒙の理念の実践の結果、農業と医学が進歩し、食糧事情と健康状態が改善したためです。本書ではこのほか、戦争も殺人も貧困も減り、教育は普及し、民主化も進むなど、各種の側面で世界はかつてなく良くなったことを、データで示しています。

 にもかかわらず、私たちは世界の「進歩」を忘れ、将来を悲観し、悪いニュースにとらわれがちです。数十億人を疫病から救った薬の発明者より、テロリストのほうが有名というように、私たちの知識や思考は悲観的方向に偏っているのです。

 偏った知識や思考パターンに基づいて将来の課題への判断を下せば、大失敗しかねません。本書は、世界の本当の姿をデータで描き出し、それを人類の進歩や思想の流れの中に位置づけることで、悲観主義への偏りを正す本です。ゲイツ氏ならずとも、その読者の多くが感激する、まれに見る傑作。年頭に読むにふさわしい一冊です。(橘明美、坂田雪子訳/草思社・各2500円+税)

 草思社編集部 久保田創

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