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【話の肖像画】福岡ソフトバンクホークス球団会長・王貞治(79)(9)運命を決めた「一本足打法」

 最初にボールを捕らえたあのときの感触は今でも手に残っています。第1打席で右前安打、第2打席で右翼席にホームランと5打数3安打でした。高校時代に甲子園でもホームラン(2本)を打っているし、長打力はあったのですが、あのときの1打は自分でも信じられないくらい打球に勢いがありましたね。それでも周囲からは「王が何か変な格好で打っているぞ」としか見られなかった。2週間ほどしてからですよ、新聞に「一本足打法」という言葉が載ったのは。

 《新打法で初の本塁打王へ》

 一本足にはシーズン途中から変えたのですが、結果的にホームラン王になった。前半(4、5、6月)の3カ月でたった9本だったのが、7月以降の3カ月で29本。ホームランが出ているからこそ、一本足を続けました。もしあの試合でノーヒットだったら、一本足はやっていないですよ。稲川さんは恩人なんです。

 人間というのは面白いもので、1本打つと「もう1本」と欲が出てくる。もともと手が抜けない性格だし、たとえ深夜近くまで飲んでいたとしても荒川さんの家を毎日訪ねて練習は休まなかった。本当に野球が楽しくなってきたんです。日本刀での素振り、植芝先生の合気道道場にもお邪魔して気持ちと体を一体化させる「気」も勉強しました。この特訓は荒川さんが45年に巨人を退団するまで10年近く続きました。今の僕があるのは荒川さんのおかげ、最大の恩人です。(聞き手 清水満)

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