PR

ライフ ライフ

【話の肖像画】福岡ソフトバンクホークス球団会長・王貞治(79)(9)運命を決めた「一本足打法」

前のニュース

荒川博コーチと「一本足打法」を追究する
荒川博コーチと「一本足打法」を追究する

 《プロ入りから3年間は伸び悩んだ。昭和37年、“運命の人”が打撃コーチとして巨人にやってくる。荒川博さんだ。ここから猛特訓が始まった。いわゆる“荒川道場”である》

 現在のプロ野球選手にもいますが、どうしても「前さばき」ができないと前に飛ばない。今の時代は変化球が多いのも原因ですが、変化球に泳がないように打とうとすると、速球には差し込まれて詰まってしまう。当時の僕もその傾向があった。僕のスイングは右足をステップするタイミングに対して、上半身の動きが遅かった。荒川さんはそんな欠点を見抜いて、始動を速くするために一本足にしたんです。

 スイングスピードをつけるために、とにかくバットを振り込んだ。荒川さんは合気道の開祖・植芝盛平(うえしば・もりへい)先生に師事していた関係で、「気」の思考をバッティングに取り入れた。インパクトの瞬間に「気」を集めるんです。息を止めて連続スイングする。最初はすぐ息切れしましたが、訓練を重ねると止めたままで20回、30回と振れるようになる。一本足で数えられないくらい素振りをしましたが、当初はあくまでも練習でのイメージトレーニングと考えていました。まさか実戦で打つとは考えてもいなかったのです。

 《シーズン途中に一本足で第1号が飛び出す》

 4年目のシーズンも二本足で始まりました。シーズン前半は打率2割6分前後と伸び悩み、チームも停滞ムードでした。そんななか、忘れもしない7月1日の大洋戦で、荒川さんが「きょうから一本足で行くぞ」と言ったのです。相手は大黒柱の稲川誠投手、川崎球場でした。前日も2三振で自信を失っていた僕は荒川さんの言葉に従いました。新打法の基本は投手のモーションに合わせてステップする。だから右投手の稲川さんが振りかぶると僕は右足を上げ、稲川さんが左足を踏み出したら、右足を踏み出した。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ