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【親子でわくわく かがく絵本】「大根はエライ」 “共感”で見えてくる

大根はエライ
大根はエライ

 平成15年に福音館書店から刊行された『大根はエライ』(久住昌之文・絵)は、毎日の食卓のどこかに、主役でも脇役でも登場する大根にスポットをあてた絵本です。漫画『孤独のグルメ』(扶桑社)の原作者である久住さんが、「人間にたとえると、まじめでおとなしい感じ」という大根のことを、軽快な絵と文で語ります。

 そのまますった大根おろしは肉や魚、野菜にもなじみ、いろいろな料理と合う。千切りにすればお刺し身のツマに、千六本に切ればサラダにと、切り方で味わいが変わる。また、一緒に煮るものによって、大根のおいしさは変化する。「まるでいつも脇役に徹している役者さんみたいだ」。漬物にも汁物にも引っ張りだこ。葉も皮も全て食べられるし、消化を助けるジアスターゼ、ビタミンAやC、カロテンなど栄養もたっぷり。

 そんな八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍の大根は、「人気、実力ともにナンバーワンの野菜」なのに、「大根役者」に「大根足」など、「『大根』のつく言葉にあまりいいものはない」。

 そんな奥ゆかしい大根に向かって作者は言う。「大根よ、もっと自己主張しろ! 『オレが一番だ!』と」。でも、「大根はきっと『いや、ボクはいいよ』と、小さな声で言いそうな気がする」「大根って、そういうやつなんだ」。

 当たり前に食している大根をじっくりと丁寧に見つめ、考えていきます。観察ではなく、大根に共感しながら心を寄せることで、作者には大根の声が聞こえてきます。そして、新たな大根の特性が見えてきます。

 大根には大根の生き方があり、そんな生き方もまた味わいがあるものだと大根から教えられるのです。身の回りにあるさまざまなモノや事象に共感の眼差(まなざ)しを向けると、私たちが生きる世界はおもしろさに満ち溢(あふ)れていることに気付かされます。

 読み終わった後、きっと大根を愛しく思うことでしょう。(国立音楽大教授・同付属幼稚園長 林浩子)

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