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【正論2月号】中国に「身売り」されるジャパンディスプレイ 国家意識欠く官民ファンド 産経新聞特別記者 田村秀男

東京証券取引所で記者会見するジャパンディスプレイの菊岡稔社長(左端)=13日午後、東京・日本橋兜町
東京証券取引所で記者会見するジャパンディスプレイの菊岡稔社長(左端)=13日午後、東京・日本橋兜町

 ※この記事は、月刊「正論2月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 日本は官民が結集して半導体の技術開発に取り組んだ結果、八十年代後半には競争力で米国を脅かすハイテク王国だったが、今や見る影もない。韓国、台湾に後れを取り、中国資本による買収をあてにする始末である。主要メーカーの液晶部門を統合、国家資金を投入して設立されたジャパンディスプレイ(略称JDI)が代表例である。収益力のない企業は市場から淘汰すべきとのビジネススクール教科書流思考によるが、甘過ぎやしないか。ハイテク覇権を狙う中国にとって、市場原理主義に凝り固まった日本はまさに思うつぼにはまっている。

 ジャパンディスプレイは、経済産業省主導の官民ファンドの産業革新機構(INCJ)が二千億円を投じ、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して二◯一二年四月に発足した。その前にはパナソニックの液晶部門が東芝に、セイコーエプソンと三洋電機の液晶部門がソニーにそれぞれ統合されていたので、日本の大半の液晶表示装置メーカーの液晶部門がJDIに集約されたことになる。文字通りの「日の丸液晶」会社である。

 JDIは発足から約二年で東証一部に上場したものの、業績は六期連続の赤字で、二◯一九年四~九月期の連結決算は千八十六億円の赤字(前年同期は九十五億円の赤字)、同年九月末時点で千億円超の債務超過に陥った。

 財務危機を乗り越えるために、台湾・中国の電子部品メーカーや投資会社が作る「Suwaコンソーシアム」と業務提携し、同コンソーシアムから最大八百億円を調達することを目指し、二◯一八年十二月ごろから交渉に入った。Suwaコンソーシアムは、中国最大の資産運用会社、嘉実基金管理、台湾のタッチパネルメーカーの宸鴻集団と台湾の蔡一族投資ファンドCGLによって構成されている。JDIはことし四月に、嘉実基金と蒸着方式有機ELディスプレイの量産計画に関する業務提携で基本合意し、宸鴻集団とは液晶ディスプレイに関する業務提携基本契約を結んだ。

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