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【装丁入魂】ブックデザイナー・川名潤さん 「お年玉で買いたくなる」

 □三村晴子著「世界魔法使い画譜」(国書刊行会、4800円+税)

 カラフルな色づかいの、堅固な外箱から抜き出した本体は、対照的にこげ茶と黒(背クロス)の落ち着いた配色。「レザック」と呼ばれる革のような模様を施し、細かな凹凸がある手触りのよい表紙に金箔(きんぱく)加工されたタイトルが、不思議な世界へと導く。

 「小学生か中学生の自分が、“お年玉をためて買い求めたい”と思える作りにできた」

 ブックデザイナー歴20年の川名潤さん(43)が、予算を気にせず手がけられたというのが、の装丁。幻想的な挿絵を得意にする画家の三村さんと以前、一緒にポスターを制作した縁で依頼があった。

 中世イスラムの哲学者キンディーや陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明のほか、「ハーメルンの笛吹き男」、米童話作家ライマン・フランク・ボームの小説に登場する「オズ」など物語上の人物も含め48人について、その言い伝えを紹介している。大きな活字で記された人物名は、中世ヨーロッパで使用されたブラックレターという書体を、説明文には紀元前に使われ始めた隷書体を用いることで、魔法使い伝説の長さを表現。「自分もファンタジーのようなものは好きなので、企画の最初に(本となる)最終段階が見えていた。提案したのはこの形だけ」という自信作だ。

 多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、月刊情報誌の編集部に就職した。「ライターが執筆した原稿を、イラストで見せるか写真を使うかなど、デザイナーの立場で誌面編集に参加できた」というのがブックデザイナーとしての原点。平成14年に移籍した事務所では「乱暴と待機」(本谷有希子著)、「屍者の帝国」(伊藤計劃(けいかく)×円城塔著)などに携わり、29年に独立した。

 月平均15冊の企画を抱える人気ブックデザイナーに、新たな依頼があった。講談社の文芸誌「群像」のリニューアルを担い、表紙をはじめ総合デザインを任されたのだ。作家と作品名が行儀よく並んだ従来の表紙とは異なり、ロゴも変え抽象写真を用いて、作家名は斜めに配置…。

 「面白い中身をきちんと伝えることで、新たな読者を開拓していければ」。デザインの力を信じている。(伊藤洋一)

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