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【ビブリオエッセー】果無山脈に生きる命 「山びとの動物誌」宇江敏勝

 山の会に在籍して月2度は近畿の山を歩いています。都会を離れ、自然に癒されています。その山も自然のままではなく実は雑木林を伐採してスギやヒノキなどに植え替え、その木材を利用しています。そんなことを考えていた時、知人から宇江さんのことを聞きました。「こころの時代」という番組に出演しておられたそうです。さっそく図書館で借りたのがこの本。山に登っているので親近感を感じてすぐ引き込まれました。

 三重県尾鷲市の出身。紀伊半島の山々で植林や伐採、炭焼きなど山の仕事に関わってきた宇江さん。山小屋生活をしながら感じたことを綴り、多くの本を書かれています。主な舞台は奈良と和歌山の県境にまたがる果無山脈。何度も歩いた私にもなじみのある山々です。

 この本では山に生きる動物たち、猪や野兎、カモシカ、鹿、狸、熊など、山の仕事の中で出会った話が巧みな文章で表現されています。私たちは山に登っても夕方には帰ってしまうので、夜の山は知りません。雨の夜だけに鳴く鳥もいるそうです。

 すべては記憶で書かれていますがその記憶力に脱帽します。もっともっと宇江作品を読みたくなりました。

 「林業を営むことと、動物たちがそこに生きていることとは、利害の対立するものではない」「動物も人間もおなじ一つの生命に変わりはない」と書いています。

 地球に住む私たちにとって自然との関わりをどう考えたらいいのか、宇江さんの問いかけを私もまた繰り返しながら山登りを楽しみたいです。

大阪府豊中市 森野貴代子68

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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