PR

ライフ ライフ

【かがく絵本】「巨大空港」 世界をおもしろがる心

 年の瀬、帰省や旅行で乗り物を利用する方も多いことでしょう。新幹線や路線バス、救急車などさまざまな乗り物の絵本を手掛けてきた鎌田歩さんの最新作が、令和元年に福音館書店から刊行された『巨大空港』です。

 「グッドモーニング、ナリタ アプローチ」。管制塔に朝一番の飛行機から無線が入ります。爆音をあげながら着陸態勢に入る飛行機。普段、私たちが見るのとは違う視点から飛行機を見上げると、まるでクジラのようにも見えます。

 迫力満点のページをめくると、電車やバス、車で到着した人々が大きな荷物を持って空港に向かう様子が詳細に描かれ、前のページとの対比で、賑やかな空港の朝の始まりを感じることができます。

 折りたたまれたページを広げると約1・2メートルになる横長の絵が現れます。駐機場と空港の断面図が緻密に描かれ、巨大空港全景を見ることができます。駐機場には、さまざまな国からやってきた飛行機を見つけられます。それを閉じると、慌ただしさの中にもワクワクしながら空港ロビーに集まる人々の表情が見てとれます。出国する人、入国する人の動きや手続きの流れもわかります。

 一方で、空港にはたくさんの人々が働いています。乗客が飛行機に乗り込む前後に、大勢の人や車が飛行機を囲み、安全で快適な空の旅を支えていることに驚かされます。広い敷地内にある、貨物飛行機のエリアや整備工場、機内食工場、検疫所など、飛行機の運航を支えるためのいろいろな施設が紹介されています。飛行機の運航が終わった後も、空港は眠ることなく、一つの大きな町のように、空港は動き続けます。

 この絵本を作った動機と綿密な取材の背景には、作者の好奇心や探求心、そして、知ることの喜びと世界をおもしろがる心をうかがうことができます。飛行機に乗らなくても空港に行ってみたくなる、子供も大人にとっても楽しめる一冊です。

(国立音楽大教授・

同付属幼稚園長 林浩子)=次回は1月10日掲載

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ