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【THE INTERVIEW】礼節・勤勉の教えが日本人支えた 志の共有で今こそワンチームを 明治大教授・齋藤孝さん『大人のための道徳教科書』

「大人こそ『道徳』の教科書が必要です」と話す齋藤孝教授(酒巻俊介撮影)
「大人こそ『道徳』の教科書が必要です」と話す齋藤孝教授(酒巻俊介撮影)
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 テレビで拝見する姿は若々しく優しげだ。ソフトな語り口で、いろんなことを分かりやすく解説してくれる。きっとお茶の間の好感度は抜群だろう。おまけに出身校は最難関の大学、本を出せばベストセラーを連発…。同い年の記者は、あまりの「違い」に愕然(がくぜん)としてしまうが、共通項も見つかった。マークシート方式の共通一次試験を受けた1期生。父親が戦前育ち。そして、訳の分からない「道徳の時間」である。

 終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の方針に沿って学校教育から「修身(しゅうしん)」の授業がなくなり、儒教的道徳観に関することなどが排除される。それは昭和33年に正式な教科ではない「道徳の時間」が設けられた際も基本的に変わらなかった。

 あいまいな状態は昨年(小学校)「特別の教科 道徳」が設けられるまで続く。

 「終戦後、戦前の教育は戦争に結びつけられて否定されました。軍国主義はよくないが、戦前の教育のすべてがそうだったわけではない。長い歴史の中で日本人を支え、共有されてきた道徳観、倫理観も一瞬にして断ち切られたのです。共有できる精神の柱を持たない国(民)は弱い。だから、(教科としての)道徳の授業を受けられなかった大人のために、素材を提供したいと思ったのです」

 本書に、明治期に書かれた新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)の「武士道」が登場する。宗教によらない日本人の道徳観や生き方の美学を紹介したもので、同書は各国で翻訳され、大きな反響を呼ぶ。「『武士道』の内容の多くは儒教的道徳観によるもので、日本人の『宝』というべき価値観でした。江戸時代の寺子屋は『論語』を教科書に使っていましたので、その価値観は武士だけでなく、町人や農民らにも共有されます。それは、形あるものが焼け落ちても変わらないものでした」

 そのことを証明するように、戦後の日本は焦土から立ち上がり、奇跡のような経済復興を成し遂げる。

 「それを担った経済人は戦後否定されたはずの戦前の教育を受けた人です。彼らには『礼節を守り、まじめに学び、勤勉に働くことが大切なのだ』という儒教的な教えが根付いていました。メンタルもタフで、簡単にはへこたれない。今の若い人が『心が折れやすい』のは、そうした土台が崩れてしまったせいもあると思いますね」

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