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【朝晴れエッセー】座ってください・12月21日

 最近、へええと感心したことがある。夫が通勤の車中で、妊婦さんに席を譲っているというのだ。

 バッグにマタニティマークを付けている女性が前に立ったら声を掛けるそうだ。自分からアクションを起こすことには、どちらかというと消極的な方だと思っていたので、意外だった。とはいうものの、心当たりもあった。

 恐らく、息子のお嫁さんの妊娠中やその後、共働きで子育てをしている姿に接する中で、その大変さを実感しての行動なのかなという気がした。孫で、子育ての大変さを実感している様子を見ていると、私も同じだったんだけど、と言いたくもなるが、夫の行動にはちょっと感心した。

 ところが、当人はしょげている。

 「どうぞ」と、立とうとすると、「大丈夫です」と固辞されるというのだ。どうしてだろうと一瞬思ったが、改めて、夫を眺めて思わず納得してしまった。

 (ごめんなさい!) どう見ても、見た目は年配者だ。この人を立たせて自分が座ることには大いに抵抗があったのだろうと、妊婦さんの気持ちも理解できる。だから、何と言葉を返していいか困った。

 そこで、新しい命を育んでいる皆様にお願いです。夫のような年配者であっても、譲られたら、どうぞ遠慮なく座ってください。皆様の子育てに、ほんのわずかな協力ができた、とうれしがらせてください。それこそが、私たち年配者の気力と体力をアップさせる力になりますから。

佐藤 倫栄 65 東京都江戸川区

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