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【大学最前線 この人に聞く】かくして英語民間試験・国数記述式問題導入は自滅した 南風原朝和・東大名誉教授(下)

大学での教育のあり方について語る南風原朝和・東大名誉教授=東京・南麻布(酒巻俊介撮影)
大学での教育のあり方について語る南風原朝和・東大名誉教授=東京・南麻布(酒巻俊介撮影)
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 〈大学入学共通テストにおける英語民間試験活用の「延期」発表から約1カ月半。萩生田光一文部科学相は17日、国語・数学の記述式問題導入の見送りを発表した。大学入試や高校・大学教育改革のさきがけとして2021年1月に実施される共通テストのあり方そのものが問われる事態となっている〉

人海戦術の破綻

 「私が、『大学入試改革のかたち』を議論する高大接続システム改革会議(文科省設置、平成27年春~28年春)の委員をしていた当時、国語をはじめ、記述式問題についてはまず答案を機械に読み取らせてクラスター(集団)に分けた後、人間が採点する-といった手法も検討されていました。これならば、共通テストの受験生の総数である約50万種類ではなく、クラスターごとにみればよいから採点がかなり効率化される、という話でした。

 ところが、いざ機械に読ませてクラスタリングしてみると、『あれ? なんでこの答案はこの答案と同じに分類されるのだ』というケースが続出し、また、それ以前に、読み取れない文字が多くて、計画は結局頓挫しました。いかに人間の手書きを判読するのが難しいか、ということです。このため、いっさい人工知能(AI)やコンピューターを使うことなく、約50万の答案を一つ一つ採点するという古典的な人海戦術を取らざるをえなくなりました。このあたりは記述式問題の導入に積極的だった方々には想定外だったでしょう。

 さて、そうなると当然持ち上がるのは、『この膨大な答案をだれが採点するのか』という問題です。文科省からの委託を受けた民間企業は、優秀な人材を選抜して研修させる、としていました。ところが、50万人を採点するには、8千人から1万人の採点者が必要といいます。この人たちすべてが『優秀』という絶対評価の基準を満たしているのか。大きな疑問符がつきます。

 教員としての経験からいえば、記述式の答案はかなりの難物です。それを正確に採点できるほど優秀で、20日間にわたって専従する時間がある。そんな方は日本にいったい何人いるのか。そう考えると、『優秀な採点者の確保』だけですでに破綻しかけていると言わざるをえません」

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