PR

ライフ ライフ

【ビブリオエッセー】昭和のドラマに今を思う 「となりの芝生」橋田壽賀子

 先月14日夕刊のビブリオエッセーで、『小説おしん』が紹介されていましたが、偶然、私が読んでいたのが同じ橋田作品でした。

 運よく古本屋で手に入れたのが、『となりの芝生』(日本放送出版協会)の初版本。やはり先月のことです。本の帯には当時の山本陽子と沢村貞子の写真があり、ちょうどNHK銀河テレビ小説で放映中だったころに出版されたものでした。70年代、つまり昭和の、私が生まれてまもない時代でしたが、すんなり小説の世界に入っていけました。

 高平家は30代の夫婦、要と知子に小学生の男女2人の子供がいる4人家族。夢のマイホームに移り住み、自由で幸せな生活が始まると感じていたのも束の間、大阪から夫の母、志乃が現れます。

 嫁と姑といえば、嫁いだ先が夫の実家で共同生活の中で問題が生じるケースが多いようですが、この小説では、姑が自分の居場所探しと、自身とは違いマイホームを手に入れ、幸せそうな次男の息子夫婦に対しての孤独感が浮き彫りにされます。

 嫁の立場にしたら自分なりにきちんと主婦の座を守ってきたはずなのに、姑の登場で夫には理解されていなかったという裏切られた気持ちと、子供たちを傷つけた罪の意識。知子が働きに出たことで夫婦の溝は深まり…。

 嫁姑、夫婦の問題がドラマの中心ですが、いまは家族の問題を避けてスマホやネットに逃げ、都合の悪いときは自分の世界に閉じこもりがち。リアルな人間関係を避け、そのことが事件やトラブルにもつながっていないか、そんなことを感じました。

 大阪市此花区 富●(=さんずいにウかんむりに眉の目が貝)充治47

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ