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【ビブリオエッセー】起死回生ヒット本 いかに作るか 「イシマル書房編集部」平岡陽明(ハルキ文庫)

 活字離れや本離れが深刻な今、出版社も作家も苦戦を強いられていると聞く。『イシマル書房編集部』は厳しい現実に立ち向かう弱小出版社と仲間たちの努力と熱意が本筋となる熱き小説だ。合言葉はずばり「生き延びる」。

 主人公は左前になっている出版社にインターンとして入社した満島絢子。あこがれの編集者になった絢子が石丸社長ら情熱あふれる社員たちと経営を立て直す起爆剤としてヒット本を企画する。シニアの元編集者に助力を求め、作家探しから取材協力、装丁、紙の素材にもこだわり、ひとつずつ乗り越えていく。

 読書好きの私だが、本が書店に並ぶまでにこれほど厳しい道のりがあるとは知らなかった。読書家の集う実在のコミュニティサイト「読書メーター」も作中に絡み、より身近に感じて、思わずニックネーム「あやたんぬ」の絢子らにエールを送っていた。

 実際のところ、いくら本好きでも毎回、新刊購入とはいかない。財布と相談すれば図書館で借りたり、古本で、というのが現状だろう。しかし図書館や古書店も大いに活用しつつ、まず読書自体に興味を持つことが大事だ。

 借りたり、貸本や古本購入は諸作品への入り口としては絶好の機会。興味を持てば同じ著者やジャンルの新刊を、もしくは気に入ったその本を新たに購入し直すもいいと私は考え、実行している。

 とにかく今後も読書を楽しみ、気に入った本たちとともに人生を歩みたい。「イシマル書房-」はそういうことに改めて気づかせ、考えさせてくれる良書だった。

 大阪市西成区 10$の恋62     

【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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