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【新・仕事の周辺】山口恵以子(作家) 失敗しない女なんです、私

山口恵以子さん(三尾郁恵撮影)
山口恵以子さん(三尾郁恵撮影)

 小説家になったときから、私の人生に失敗はなくなった。

 いい経験も悪い経験も、全てネタである。しかもいい経験より悪い経験の方が、ネタとしてはずっと面白い。災難に遭ったときは落ち込まないで「ラッキー!」と自分に言い聞かせる。そうすれば気分は上向き、事態も良い方に向かうと思う。

 実は今年2月、わずか半月の間に、私は2回も振り込め詐欺のターゲットにされた。

 まずは「E区役所健康局保険金課のX」と称する男から電話が掛かってきた。「山口さんには平成25年から29年度にかけて、高額医療費の払い戻しが2万1600円あります。その旨通知を差し上げたのですが、ご確認いただいてますか?」

 正直、まるで記憶にない。「実は先月で払い戻しの期限が切れてしまったのですが、特例により、このお電話で手続きの代行をさせていただきます」

 役所とは思えない親切さ!

 取引銀行を聞かれて答えると「では明日、M銀行の担当者からお電話させます」。

 翌朝「M銀行サービスセンターのY」を名乗る男から電話があり、「払い戻しに必要な番号を取得していただきますが、手続きは極めて専門的なので、必ず行員の指示に従ってください」。

 さらに「最新の機械でないと番号が出せないが、駅前の支店には設置されていない。環七沿いのATMには設置されているので、そちらへ行ってほしい」と言われ、スマホと預金通帳とカードを持ってATMへ。

 「この時点で詐欺だって気付けよ!」とお叱りを受けそうだが、まんまと引っかかった。

 彼らは狡猾(こうかつ)で、実際のATMには存在しない表示を指示し、こちらが戸惑うと「もしかして残高照会と表示されているかもしれません」と、不信感を抱かせずに「振込」まで操作させる。

 しかし、さすがに「国の指定する取扱銀行が決まっているのでS国銀行を出してください」と指示され、天下のM銀行がどうして地方のS国銀行なのかと疑問が生じた。すると天啓のように「振り込め詐欺だ!」とひらめいて、あわてて電話を切り、事なきを得たのだった。

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