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【世界裏舞台】作家・佐藤優 子供の未来を真面目に考えよ

会見する萩生田光一文科相=11月1日、東京・霞が関の文科省(古厩正樹撮影)
会見する萩生田光一文科相=11月1日、東京・霞が関の文科省(古厩正樹撮影)

 9日に第200臨時国会が閉会した。ざらざらした感じが残る。大学入学共通テストなどの問題が、国民の感情を煽(あお)ることを目的とする政争の具として用いられたからだ。

 国会は良識の府のはずだ。だが、実際に行われているのは、初期ナチスの理論家だったカール・シュミットが強調した政治だった。シュミットは「敵」と「味方」を区別して、敵に優れたところがあっても絶対に認めず、味方の非は一切無視して、ひたすら敵を殲滅(せんめつ)することが政治の目的であると考えた。

 感情を煽る政治の危険について、現在、世界的規模での世論形成に大きな影響を与えているイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリは近著『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』(柴田裕之訳、河出書房新社)でこんな指摘をしている。

 〈国民投票や選挙は、人間の合理性にまつわるものではなく、つねに感情にまつわるものだ。もし民主主義が合理的な意思決定に尽きるのなら、すべての人に同じ投票権を与える理由は断じてない。いや、投票権そのものを与える理由すらないかもしれない。他の人よりもはるかに博識で合理的な人がいることを示す証拠はたっぷりある。特定の経済問題や政治問題に関するときは、間違いなくそうだ。ブレグジットの投票の後、著名な生物学者のリチャード・ドーキンスは、自分も含め、イギリスの国民に投票で意見を問うべきではなかったと、不満の意を表した。なぜなら一般大衆は、判断に必要とされる経済学と政治学の予備知識を欠いていたからだ。「アインシュタインが代数学的な処理をきちんとこなしていたかどうかを全国的な投票を行なって決めたり、パイロットがどの滑走路に着陸するかを乗客に投票させたりするようなものだ」〉(71頁)

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