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【ビブリオエッセー】絵本がつなぐ思いのバトン 「ねこのピート だいすきなしろいくつ」エリック・リトウィン作 大友剛訳(ひさかたチャイルド)

 〈しろいくつ/かなりさい  こう!

  あおいくつ/かなりさい  こう!〉

 軽快な歌が耳に残る。

 司書教諭講習の最終日、大学の先生がこの絵本の読み聞かせをしてくださった。ねこのピートはどんなときもくじけない。最後の一節にこうある。「なにがあっても/うたをうたって/まえにすすむってこと」。先生が伝えたかったことがよく分かった。

 二週間後、小学校での教育実習が始まった。最初は不安でいっぱい。でも優しく明るい子どもたちが私の不安をかき消してくれた。もちろん実習中はたくさん悩み、たくさん苦しんだが、この子どもたちのために乗り越えるしかないと懸命に取り組んだ。担任の先生と子どもたちには感謝しかない。だからこそ、この絵本で、前へ進んでいくことをしっかり伝えたかった。

 実習の最終日、次は私が子どもたちに読み聞かせをする番だ。ページをめくるごとに子どもたちと歌い、かけ合いをした。この絵本には楽譜がうしろについていて、みんなで歌える工夫がしてある。元気で明るい声を聞きながら、素敵な経験と思い出を胸に、私は改めて先生になることを心の中で誓った。

 担任の先生はさっそく『ねこのピート』のシリーズを買ってくださった。みんながいつでも読んで歌えるよう学級文庫に置いたそうだ。

 この出会いが自分を大きく成長させてくれた。それが夢への一歩となっていく。この前向きな気持ちが伝われば。絵本はこんな言葉でしめくくられている。「そう/それがだいじ!/きょうも/かなりさいこう!」

奈良県生駒市 川邉甲余子21

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

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