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【がん電話相談から】Q:妻が肺がんステージIV、薬剤耐性に不安

■現治療継続後に化学療法変更も

 Q 40代の妻の相談です。今年7月に肺がんと診断されました。骨(腰椎)と脳に転移があったことからステージIV(4)期と診断されました。肺がんの治療には分子標的薬「タグリッソ」(一般名オシメルチニブ)を使い始めています。今後、薬剤耐性が起きた場合に不安があり、主治医に尋ねると、「その時、考えます」という答えでした。

 A 転移があるステージIVですと、手術は難しく、薬物療法を主体とした治療になります。タグリッソはEGFR変異がある非小細胞肺がんに対する分子標的薬の一つで、保険適用されています。EGFRとは、がん細胞を増殖させるスイッチのような役割があるタンパク質で、この遺伝子変異があるがん細胞はスイッチが壊れた状態で異常増殖します。タグリッソはこの壊れたスイッチを標的とした薬剤で、比較的副作用が少ないことが知られています。

 Q 妻の肺がんについて「縮小が認められる」と主治医に言われました。

 A タグリッソの効果が出ているようですね。転移の治療はどうですか。

 Q 転移のあった腰椎には放射線治療を、脳にはガンマナイフによる治療を行いました。脳のがんは縮小が認められました。今後、耐性が出る可能性はどうですか。

 A タグリッソは数年前に保険適用されたばかりで、どのような耐性が出るか、世界中で研究しているところです。分子標的薬は一般に、1年ほどで効果が落ちることが多いとされています。一方で、数年間、効果が続く人もいて個人差があります。

 Q 治療法がなくなるのが心配です。

 A 使っている薬剤に効果が出ているとのことですから、まずは効果継続を期待して続けることが一番です。

 仮に今使っている薬剤に耐性が出たら、化学療法に切り替える方法があります。分子標的薬と化学療法では作用や耐性の機序(仕組み)が異なり、化学療法を経て再び分子標的薬に戻せば、効く可能性があります。その際は、いま使っている薬剤を再び投与することもあれば、別の薬剤を選択することもあります。

 Q ほかの選択肢はありますか。

 A 分子標的薬以外では、「オプジーボ」に代表される免疫チェックポイント阻害剤があります。ただし、EGFR変異のある非小細胞肺がんに対しては若干効果が低いと考えられており、化学療法、血管新生阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用も検討されています。

 Q 「肺がんは慢性疾患になった」という話も聞きました。

 A さまざまな新規の薬剤が登場して、たとえIV期の肺がんでも以前よりも長期の生存が期待できるようになっています。根治を目指せない場合も、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病のように、病気とうまく付き合い、生活することが重要となっています。

(構成 大家俊夫)

 回答には、がん研有明病院呼吸器センター長の西尾誠人医師が当たりました。専門医やカウンセラーによる「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は、03・5531・0110。受け付けは月~木曜日(祝日除く)午前11時~午後3時。個人情報を厳守します。相談内容が本欄やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。

《ミニ解説》

■遺伝子レベルの解析で治療につながる可能性

 肺がんは遺伝子レベルでの解明が進んでおり、その変異に基づいた薬剤が今回の分子標的薬のように次々と保険適用の治療薬として登場している。

 西尾医師は「肺がんと診断されるとまず、どのような遺伝子変異があるかを検査し、その変異によって薬剤を選びます。検査も大半は公的保険でカバーされます」と話す。

 ただし、遺伝子変異などが見つかっても、すべてのケースに薬剤が用意されているわけではない。西尾医師は「いま薬剤が効かないタイプの肺がんでも、近い将来、有効な薬剤が開発される可能性があり、希望を捨てないでほしい」と呼びかけている。

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