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【本ナビ+1】慈愛に満ちた優しい眼差し クリエイティブ・ディレクター 佐藤可士和

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  ■『太陽はひとりぼっち』鈴木るりか著(小学館・1300円+税)

 著者の鈴木るりかさんを初めて知ったのは前作『14歳、明日の時間割』だった。書店で「15歳の誕生日に発刊された、現役女子中学生作家待望の第二作」というPOPを見て思わず手に取ったところ、中学校を舞台にした時間割仕立ての短編集で、学校や家庭でのちょっとした日常の一コマがあまりに面白く、圧倒的なリアリティーをもって描かれていて、声に出して笑ってしまった。著者紹介を読むと、なんと小学生のときに児童文学賞を連続受賞し、14歳の誕生日に刊行されたデビュー作『さよなら、田中さん』が10万部を超えるベストセラーとなったという。

 本作は、高校生となった著者による『さよなら、田中さん』の続編。僕も主人公の小学生・田中花実とそのパワフルなお母さんにすっかり魅了されていたので、「待ってました!」という思いで手に取った。中学生となった花実が出会う新しい友人や、ある日、家の前に現れた謎のサラリーマン風の男性と老婆(ろうば)、小学校の同級生だった三上くんのその後や、担任だった木戸先生のエピソードなど3編が収録されているが、今回も一度読み出したら止まらない、人生の機微に満ちた内容になっている。

クリエイティブディレクター 佐藤可士和さん
クリエイティブディレクター 佐藤可士和さん
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 家族との葛藤、長年苦い思いを抱えながら向き合っていく人間関係、お金のこと、自分の居場所についてなど、著者はまだ高校生なのに、まるで何十年も人生を経験してきたかのようで、毎日の生活を一生懸命に生きる人々に、慈愛に満ちた優しい眼差(まなざ)しを送る。と同時に、それを若者らしい軽やかな空気感にのせて表現しているのが本当に素晴らしいと思う。

 読みながら笑顔になり、そしていつもちょっと涙が出そうになるのがまたいい。あたたかい気持ちに満たされ、また彼女の次の作品を心待ちにしてしまうのだ。今年最後の一冊にぜひおすすめしたい。

 ■『望み通りの返事を引き出すドイツ式交渉術』ジャック・ナシャー著/安原実津訳(早川書房・2100円+税)

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 交渉上手な「田中さんのお母さん」にちなんだ1冊を。ミュンヘン・ビジネススクール教授が伝授するドイツ発の最強交渉術だ。「死んだ犬をオファーする」など、自分は使わないけれど、知っていれば相手の無謀な要求に動揺せず対応できそうな、びっくりなテクニックが満載。

【プロフィル】佐藤可士和

さとう・かしわ 昭和40年、東京生まれ。多摩美大卒。クリエイティブスタジオ「サムライ」を主宰し、企業のブランド戦略やデザインなどを手掛ける。

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