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【話題の本】『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』

 ■起伏に富む人生、リアルに刻む

 日本はもちろん、本国アメリカでも長い間、知る人ぞ知る存在にとどまっていた。死後十数年がたった最近になって魅力が“再発見”された女性作家(表紙カバーの写真は本人)の短編集だ。7月の刊行直後からSNSで反響が広がり、今月中には海外文学では異例といえる7刷3万5000部に届く。

 ルシア・ベルリン(1936~2004年)は父の仕事の関係で鉱山町を転々として育つ。3度の結婚と離婚を経験し、高校教師や家の清掃、電話交換手、ER(緊急救命室)の看護師など雑多な仕事をしながら4人の息子を育てた。アルコール依存症に苦しんだ時期もある。

 収録された24編はそんな起伏に富んだ実人生に基づく。亡き夫の姿を思い起こしながら、他人の家の掃除に向かうバスに揺られた日々。がんで死にゆく妹と向き合った時間…。孤独や悲しみが迫る飾りの少ない文章には、現実の苦境を突き放すユーモアもある。「境遇は違うのに不思議と共感できる、という感想が多い。基調がリアリズムで、どこからでも読める短編集だから海外文学になじみのない人も入りやすい」と担当編集者。心を静かに揺さぶる一文がきっと見つかる。(ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳/講談社・2200円+税)

 海老沢類

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