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【編集者のおすすめ】『アリバイ崩し承ります』大山誠一郎著

 ■精緻、純度の高いミステリ

 「時を戻すことができました。アリバイは、崩れました」

 古きよきアーケード式商店街で、写真館と精肉店の間にたたずむ美谷時計店。店内には「時計修理承ります」とともに「アリバイ崩し承ります」という貼り紙があります。難事件に頭を悩ませる新米刑事は、アリバイ崩しを若き店主・美谷時乃(みたに・ときの)に依頼します。

 時乃は、殺人事件で被害者のストーカーと化していた元夫のアリバイ、郵便ポストに投函(とうかん)された拳銃のアリバイ、山荘の時計台で起きた殺人のアリバイなど…7つの事件や謎に挑むことに。冒頭の言葉は、時乃の決めゼリフ。こんなことあるわけないでしょう? と思いつつ、読み進めていくうちに、いつしか彼女の鮮やかすぎる謎解きに引き込まれていきます。

 著者はミステリ界の名門・京都大学推理小説研究会出身。サークルでは「犯人当て」の名手として知られていました。また、謎解きのテーマを考え抜き、丹念に文章をつづり、何度も加筆改稿を重ねるがゆえに、刊行点数が少ないことでも知られています。

 だからこそ、一作一作が非常に濃密で、文章は時計のように精緻。本書は純度の高い本格ミステリでありながら、誰もが楽しめる面白さをあわせもつ貴重な一冊なのです。

 「2019本格ミステリ・ベスト10」(原書房)で第一位に選ばれるなど、ミステリとしてのクオリティーの高さは折り紙つき。この冬には、浜辺美波さん主演の連続テレビドラマとして放送されます。こちらも注目ください。(実業之日本社文庫・680円+税)

 実業之日本社文芸出版部・阿部雅彦

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