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【新聞に喝!】新聞が踏み込まないグレタさん「賛同者」の実態 元東大教授・酒井信彦

スペインに向かうためヨットに乗船する気候変動活動家のグレタ・トゥンベリさん(右から2人目)=11月13日、米バージニア州ハンプトン(ロイター)
スペインに向かうためヨットに乗船する気候変動活動家のグレタ・トゥンベリさん(右から2人目)=11月13日、米バージニア州ハンプトン(ロイター)

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、9月23日に国連の気候行動サミットで演説し「温暖化対策に失敗すれば、あなたたちを決して許さない」と、大人たちを強い調子で糾弾した。

 グレタさんは昨年の8月から毎週金曜日に学校を休み、スウェーデン議会前で一人で気候変動を警告する抗議活動を開始。それは急速に広汎な支持を集め、世界に広まることになった。9月20日のデモには世界160カ国以上で400万人以上が参加したという。

 日本の新聞にもグレタさんの言動を評価する記事が多数見られた。それに関連して目についたのは、グレタさんの言動を評価するだけでなく、彼女に疑問を持つ人々を強く非難する意見が見られたことである。11月1日の朝日新聞「『子ども』の政治発言」では、ある環境学者が「『誰かに入れ知恵されている』などと批判する大人の姿は醜悪でした」と言っている。

 私がグレタさんの言動で最も注目するのは、「学校ストライキ」もさることながら、温室効果ガスの排出量が多いことを理由に、飛行機の利用を拒否しているという事実だ。ニューヨークの国連本部に向かう際は、8月14日にヨットでイギリスを出発、330時間をかけて、約7千キロを航海し、28日にニューヨークに到着した。そのヨットは、ソーラーパネルを装備し、船内の電気を賄っていた。

 グレタさんは次に、南米のチリで開催予定だった第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に出席しようとしたが、チリの政情不安により、開催地が急遽(きゅうきょ)スペインのマドリードに変更されてしまう。陸上では行けなくなり、困ったグレタさんはツイッターで、誰か移動を助けてほしい、と呼びかけた。その結果、11月13日にアメリカのバージニア州ハンプトンから出航。今度ももちろんヨットで、オーストラリア人の夫婦が同乗させてくれた。グレタさんの父親と6人のプロセーラーも乗っており、ポルトガルまで2~3週間、約5500キロの航海だという。

 グレタさんの言動に賛同した人は、世界中で膨大な数になる。その中でグレタさんの飛行機拒否の行動を見習い、実際に飛行機に乗らなくなった人間は、一体どのくらいいるのだろうか。口で賛同するのはたやすいが、現代社会で飛行機を使わずに暮らすのは不可能なはずだ。グレタさんを称賛した新聞には、そうした事実まで踏み込んで報道する責任がある。

【プロフィル】酒井信彦(さかい・のぶひこ) 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で『大日本史料』の編纂に従事。

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