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【ゴッホ展この1点】(5)「麦畑」1888年6月 黄金色に輝く生命

P.& N.デ・ブール財団 (C)P.&N.de Boer Foundation
P.& N.デ・ブール財団 (C)P.&N.de Boer Foundation

 周囲を見渡すと自然の中にたくさんの発見があって、それ以外のことを考える時間がほとんどない。今はちょうど収穫の時期にあたるからね(略)この一週間はずっと小麦畑の中にいて、太陽にさらされながらとにかく仕事をしたよ -1888年6月21日、弟テオへの手紙(仏アルルにて)

 辺り一面が黄金色に燃える麦秋の風景。1888年の初夏、ゴッホは収穫期の小麦畑を少なくとも10点、油彩で描いたという。

 この年の2月、画家はパリから南仏アルルに移り住んだ。南仏ならではの植生や風景、強い陽光に大いに触発されたのだろう。色彩や筆遣いはより大胆になってゆく。

 構図も工夫している。本作の場合、画面の高い位置に地平線があり、やや高所から見下ろした形。こうした構図は意外と西洋絵画の伝統にはなく、浮世絵の影響も指摘されている。

 ゴッホは種まきから収穫まで、麦にまつわる主題を多く描いた。聖書の世界でしばしば麦は人生と結び付けられ、死神が大きな鎌を持つように、麦刈りは人の死を象徴する。

 たわわに実った黄金の麦畑からは、画家の生命の輝きや、ほとばしる創作意欲を感じる。しかしその一方で、絶頂のときが長くないことも暗示しているようだ。

 「ゴッホ展」は上野の森美術館(東京・上野公園)で来年1月13日まで開催。

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