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【ロングセラーを読む】『統計でウソをつく法』ダレル・ハフ著、高木秀玄訳

■人間の欲望を見抜く入門書

 統計といえば、今年はじめに騒動となった厚生労働省の毎月勤労統計をめぐる不正が記憶に新しい。統計法に基づく「基幹統計」である毎月勤労統計は、大手事業者を全数調査する決まりだが、厚労省は東京都内は事業所数が多く、15年前に抽出調査に勝手に変更していたのだ。この結果、統計の賃金データが実態より低くなり、雇用保険などが過少に支給されていた。

 こうしたずさんすぎる行為が信用失墜を招いたことは言うまでもないが、世の中には、統計を使って金もうけや印象操作に手を染めるケースは多い。少ないサンプルで“全体平均”を表す、平均値と中央値の取り替え…。そんな事例を数多く集め、対策法を示したのが「統計でウソをつく法」だ。昭和43年の刊行以来、版を順調に重ね、今年3月に101刷に到達。サイエンス中心の「講談社ブルーバックス」では、「相対性理論の世界」(41年)に続いて100刷を突破した堂々たるロングセラーだ。

 発行当時、謎めいたイメージもあったとされる統計。息の長さについて「タイトルがはまったのではないか」と担当者は話す。

 筆者のダレル・ハフ(1913~2001年)は米国生まれで、統計学のほか、社会心理学や心理テストなどを研究し、フリーランサーになってからは雑誌に記事や短編小説を寄稿していた。訳者のあとがきに「彼が大学だけで研究している人であったならば、このようなユーモアたっぷりの本は書けなかった」とあるように、ハフは、統計操作で事実を都合のいいように歪曲(わいきょく)するケースを調べ、統計の裏に見え隠れする人間の変わらぬ欲望を見逃さない。《多くの統計は、額面通り受け取るとウソばかりである。統計は、数字という魔術によって、人々の常識を麻痺させてしまうからこそ、生きながらえている》。味わい深い言葉だ。

 「統計でだまされたくない方法」を手っ取り早く知りたい方は、最終章「統計のウソを見破る五つのカギ」がおすすめ。日常生活にあふれる統計数字を見る目が、きっと変わってくるはずだ。(講談社 920円+税)

 花房壮

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