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井山一強から群雄割拠へ 囲碁の芝野王座誕生が示す潮流

 囲碁の第67期王座戦第4局で井山裕太王座(左)を破り、対局を振り返る芝野虎丸名人。王座を奪取し、史上最年少の二冠となった=29日夜、愛知県蒲郡市
 囲碁の第67期王座戦第4局で井山裕太王座(左)を破り、対局を振り返る芝野虎丸名人。王座を奪取し、史上最年少の二冠となった=29日夜、愛知県蒲郡市

 「相手が誰だとか、どんな対局だとかは考えず、打つようにしている」と話す芝野名人が、トップランナー・井山裕太四冠(30)とのタイトル戦初対決に臆することなく立ち向かい見事、王座を奪った。

 時代はめぐる。

 井山が初めて七大タイトルを獲得したのは平成21年の名人だった。20歳4カ月での奪取は史上最年少。前年の名人戦七番勝負で敗れた当時の張栩(ちょう・う)名人(39)に続けて挑戦し勝ち取ったのだ。

 井山はその後、張が保持していたタイトルを根こそぎ、はがしにいった。21年の十段戦(産経新聞社主催)で勝利し、史上初の5冠になっていた張。井山は25年の棋聖戦で張を破り、史上初の6冠保持者に。一方、15年に本因坊を獲得して以降、常に七大タイトルを保持していた張はこの敗戦で、無冠に転落した。

 張とともに、囲碁界を牽引(けんいん)してきたのが「平成四天王」と呼ばれた羽根直樹碁聖(43)、高尾紳路九段(43)、山下敬吾九段(41)だ。昭和51~55年生まれで平成3~6年にプロになった4人が、15~24年のタイトル戦線で主流を占めた。

 21年の名人獲得、そして23年の天元奪取以降、常に複数のタイトルを保持している井山だが、2度の七大タイトル独占中も「(タイトルを)譲りたくはないが、日本が世界で勝っていくためには、何人かで分け合う状況が好ましいのかもしれない」と、強者による切磋琢磨を望んでいた。同世代の村川大介十段(28)、ひとまわり上の羽根碁聖、そして10歳下の芝野二冠とタイトルが分散したことは、長く続いた“井山一強”時代とは違った群雄割拠の競争を生み出す可能性が出てきた。

 井山は26日に韓国・釜山での国別団体戦「農心辛ラーメン杯」に出場。一力遼八段(22)や許家元八段(21)、韓国棋士ら7人を勝ち抜いてきた楊鼎新九段(中国)に勝利し、日本代表としての意地を見せた。帰国してこの日の王座戦に臨むハードスケジュールだったが、それも第一人者としての務めだ。

 21年の十段戦で張が、史上初の5冠保持者になったのが、この日王座戦が行われた愛知県蒲郡市の銀波荘だった。同じ舞台で、新たな潮流が生まれるか。

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