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サントリー元社員の作家が綴る「酒と大阪」 吉村喜彦さん新作「バー堂島」

サントリーの元社員で作家の吉村喜彦さんの新作「バー堂島」
サントリーの元社員で作家の吉村喜彦さんの新作「バー堂島」

 川沿いのバーを舞台にした小説「バー・リバーサイド」シリーズを手がける大阪出身の作家、吉村喜彦(のぶひこ)さん(64)が、大阪を舞台にした新作『バー堂島』(ハルキ文庫)を上梓(じょうし)した。吉村さんは大手飲料メーカー・サントリーの元社員で、ウイスキーなどの宣伝を担当。培った酒の知識を生かしつつ、人情味あふれる大阪の人々の描写は、ふるさとへの愛と故郷の魅力が詰まっている。(渡部圭介)

 これまでシリーズの舞台は東京近郊のバー。文筆活動を支える角川春樹氏から「大阪弁で小説を書いた方が、もっと自由になれる」とアドバイスをもらい、本作に取りかかった。吉村さんは「妻が神戸出身ということもあって、頭の中はいつも大阪弁です。大阪は地域のコミュニティーが色濃く残っていて、書きやすいとも思った」と振り返る。

 本作の舞台は大阪・北新地のはずれ、堂島川沿いにある「バー堂島」。堂島を選んだのは大阪出身ならではの視点がある。「知名度がある中之島を舞台にしようかと思ったが、バーがあるイメージがない。“新地”(北新地)といっても広いし、堂島の方がピンポイントでリアリティーがあるかな、と」(吉村さん)。

 物語は店主のバーテンダーと客たちが交わす、大阪言葉特有のテンポの良い会話を中心に進行する。ユニークな大阪弁を話すイタリア人、氷屋の若旦那、スイミングインストラクターのカナちゃん…個性的な客たちのそれぞれの日常や悲喜こもごもが語られる。

 その客たちが明かすエピソードはリアリティーを追究した。例えば西成で行き倒れ、身寄りがない人に手を合わせる僧侶にまつわるピソードは、サントリーに在籍中の“副業”で西成を取材し、ルポを雑誌に寄稿した経験が生きている。

 吉村さんは「人生あかんようになっても、生きていけるような気がする、ものすごく優しい街だと感じたんです。西成への愛情が出ました」と語る。

 作中に出てくる数々のカクテルはサントリー時代の知識を生かしつつ、バースプーンで混ぜるだけのシンプルなレシピのカクテルばかりだ。

 吉村さんは「今は東京在住ですが、心は大阪にあります。うんちくを語って大阪の読者にイキっていると思われないよう、シンプルにしました」と笑いつつ、「世の中、東京一極集中という感じですが、アンチ東京ではなく、非東京の代表戦士としての大阪の魅力を感じてくれたら」と話している。

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